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経営の原点12ヶ条 「盛和塾第21回世界大会 塾長講話」より

2013-07-21

 去る7月17日と18日の2日間に渡り、盛和塾第21回世界大会がパシフィコ横浜で開催されました。

 発足から30周年に当たる今回、世界各地から過去最高の68塾、4345名の来場により盛大に開催されました。

 塾長著書「生き方」は、今や世界中で300万部以上を売り上げる不朽の名作となりつつあります。

 暴走する資本主義社会において、今や稲盛哲学は世界の規範となりつつある感があります。

 稲盛塾長は京セラとKDDIをゼロから創業し、大きく成長発展させました。その売上は合計で5兆円以上に達します。

 そしてこの度のJAL再建の成功です。誰もが無理だと言ったJALの再建は、奇跡の再建と称され、今やJALは航空運輸業界で世界一の収益を誇っております。

 さて、今回は盛和塾世界大会の最後を飾る塾長講話の速記録をお届けします。

 今回のテーマーは「経営の原点12ヶ条」。私自身盛和塾東京において、活学講座「経営の原点12ヶ条勉強会」のリーダーを4年間に渡り務めていることもあり、今回の講話は大変感動的なものでした。

 何分にも、当日講話を聞きながらパソコンに入力した速記録ですので省略箇所も多数ございますが、特に経営者の皆様には、経営を伸ばすためにとても参考になると思いますので、ここにご紹介いたします。

 

「盛和塾第21回世界大会塾長講話」〜経営の原点12ヶ条〜


 ■はじめに


 経営の原点12ヶ条を日々実践すれば皆さんの経営は格段の進歩をする。

 今日は5条から12条までお話をしようと思う。昨年の忘年塾長例会で1条から4条までお話した。

 (盛和塾機関紙118号にその内容の記述がありますのでご参照ください)

 12ヶ条は短く平易な言葉だが、京セラとKDDIの成長発展、そしてJALの再建においても素晴らしい力を発揮した。

 日本航空に対する最初の意識改革の活動が経営幹部に対する12ヶ条の講話だった。日本航空が官僚的意識を拭い去り、高収益企業にふさわしい考え方を身につけた。そして最高益企業に生まれ変わった。

 今も日本航空では12ヶ条を勉強し続けている。今のリーダー研修会のテーマも12ヶ条だ。5月の勉強会でも植木社長が1条を解説された。今後も1条ずつ役員がコメントする勉強会をする。私が日本航空を去ったあとでも勉強を続けている。

 12ヶ条は多くの人が力を認める実践的な経営の要諦だ。ぜひその力を知り、理解し、実践していただきたい。

 

 ■5.売上を最大限に、経費は最小限に

 〜入るを量って出ずるを制する。利益を追うのではない。利益はあとからついてくる。


 京セラ創業時、私は経営について何も知らなかった。

 だったら「売上最大、経費最小にすればいいんですね」と経営を始めた。

 シンプルな原則だが、これをただひたすらに貫くことで京セラは高収益企業になることができた。


 売上が増えれば経費も増えるという誤った常識がある。

 売上最大・経費最小の創意工夫を徹底的に進めていくべきだ。 もし5割増しの売上になったとしたら、5割増しの経費と人員にしてしまいがちだ。だが、もし5割増しの受注なら2割〜3割の人員増ですませるのだ。

 そうすれば高収益の企業体質ができるのだ。

 売上増加は高収益企業になる千載一遇のチャンス。

 しかし殆どの企業が経費も増加させてそのチャンスを逃してしまう。

 もし、経費だけ増やせば、売上が落ちた時たちまち赤字経営に転落する。 そういうことが往々にして起こる。 そして、組織ごとに収益が明確にわかるシステムが必要だ。

 そういう仕組を構築することが経営者の義務。

 創意工夫と努力があれば企業は成長していく。

 組織が拡大すると実態がわからなくなり、成長が止まる。

 成長しても精緻で全員が参加できる管理会計システムが必要。

 

 京セラは創業間もないころから、アメーバ経営に取り組んで来た。

 アメーバ経営者一般の財務会計とは異なる。

 アメーバといわれる小集団があり、そのリーダーがあたかも中小企業の経営者のように経営している。

 アメーバ経営では、時間当り採算という独自の計算方法でやっている。

 このような仕組みを時間当り採算制度と呼んでいる。

 月末に締めるとと月初には採算表が出てくる。

 どの部門が収益を上げているか一目瞭然にわかる。

 アメーバ経営では経費が現場に即した実践的な経費科目になっている。

 光熱費も水道代、ガス代、電気代というように、現場が理解できて、経費削減の考動が具体的に起こせるものでなければならないからだ。

 明確に経費の増減が理解でき、現場で必要な改善策が打てるようにするためである。


 日本航空でもこの制度が使われた。

 それは、私が日本航空に着任してすぐの頃の体験からだ。

 今の数字は?と聞くと、数カ月前のデータしか出なかった。

 誰が収益責任を負っているのか明確ではなかった。

 路線別、路便別の採算もわからなかった。

 そのため赤字を垂れ流し続けた路線が数多くあった。

 そのため私は路線、路便ごとにリアルタイムに採算がわかるシステムが必要と考えた。

 だから、450社以上で導入実績のあるアメーバ経営を採用した。

 それぞれの責任者が中心となって、収益性を高めるために創意工夫ができるように、KCMCの幹部とともに必死になって構築に取り組んだ。

 部門別の実績が翌月には出るようになり、それぞれの社員が懸命に再三改善に取り組んでくれるようになった。

 路便ごとに機材の変更などが臨機応変にできるようになった。

 経費の明細を全員で共有し、周知を集めて全員で経営改善に取り組めるようになった。

 そして、部門ごとの数字をもとに各リーダーに集まってもらい、業績報告会を開催した。

 この業績報告会では膨大な資料の中で、私が疑問に思うものがあれば、徹底して追求していった。

 そのような会議を続けるうちに、数字で経営することが当たり前になった。

 そして、それぞれの部門長がどのように経営していくのか、業績報告会で発表できるようになった。 2011年の4月からこの管理会計システムを導入し、今は全員で採算意識を高めている。


 日本では中小企業とできものは大きくなれば潰れると揶揄される。

 経営の実態が見えないまま大きくなるのは良くない。

 必要な経営改善が打てなくなり業績が伸びなくなる。

 京セラは近年の一時期を除き、ほとんど二桁の利益を上げてきた。

 このような高収益の企業体質が維持できたのは、独創的技術、付加価値のある製品があるという理由だけではない。

 経営の実態がよく見える管理会計システムを構築し、全社員を上げて売上最大経費最小をやってきたからだ。

 

  ■6.値決めは経営

 〜値決めはトップの仕事、お客様も喜び自分も儲かるポイントは一点である


 私はかつて京セラの役員を登用するとき、商いの原点がわかっていなければならないとして、夜泣きうどんの経営を考えたことがある。

 彼らに夜泣きうどんを経営させてみて、どれだけ資金が戻ってくるか、彼らにやらせてみようと考えたからだ。 うどん一杯といっても千差万別。

 営する人によって全く違う原価構成になる。

 また、出店立地も人によって違う。

 経営者の才覚が表れる。 

 そして値決めがある。

 学生街で夜泣きうどんをやる場合は、売値を抑えて数を出そうとするだろう。

 繁華街では高級感を出して数が少なくても利益が出るようにするだろう。

 値決め一つで経営の才覚があるかどうかがわかる。 そのため役員登用の登竜門としたいと考えた。


 経営の死命を制するのは値決めだ。

 製品の値決めにあたっては様々な考えがある。

 利幅を少なくして大量に売るのか、価格設定は無断階にある。

 まさに経営者の思想の反映である。

 価格を決めた時にどれだけ売れるのか、どれだけ利益が出るのかを予想するのは大変難しい。

 値決め一つで大きな損失が出る。

 製品の価値を正確に判断した上で、製品一個あたりの価値と販売数量の積が極大値になるようにしなければならない。

 お客様が求める最高の値段。その一点を見分ける。

 この一点を見分けるのは経営トップでなければならない。 これは値決めにあたって大切なことである。 お客様の求める最高の値段。

 価格が決まったら、その決まった価格でどのように利益を出していくかが大切。 営業マンがただ単にお客の言われるままに安い値段で出してきたら利益は出ない。


 しかし決まった価格で利益が出せるかは製造側の責任である。

 日本の企業のほとんどが原価主義である。

 しかし、競争が激しい市場では先に売値が決まってしまう。

 原価に利益を積み上げた価格では売れない。

 私は、新しい製品や技術を開発するだけが技術屋の仕事ではなく、どのようなコストで開発するかを考えることが重要だと言ってきた。

 熟慮を重ねて決められた価格の中で最大の利益を生み出す。

 固定概念は一切捨て去る。

 製品を最も低いコストで製造することを徹底して行う。

 値決めと仕入れ、製造のコストダウンが連動していなければならない。

 値決めだけが独立してあるのではない。仕入れとコストダウンにも責任をもたねばならない。

 だから値決めはトップがやるのだ。

 値決めをするときに、製造のコストダウンも考えていなければならない。


 素晴らしい経営を目指す方はよく考えていただきたい。

 値決めは経営者の人格が表れる。

 気の弱い経営者なら、安い値段で売ってしまう。

 高くすると売れないからだ。

 価格を決めるというのは今の値段で売ってもどうして利益が出るのかを考えるのだ。


 ■7.経営は強い意志で決まる

 〜経営には岩をも穿つ強い意志が必要


 経営とは経営者の意志の現れ。

 こくありたいと思えば何が何でもそれを実現する強烈な意志が必要。

 だが、目標を達成しなければ簡単に目標を修正してしまう人がいる。

 そのような態度は、従業員にも大きな影響を与えてしまう。

 それを痛切に感じたのが京セラが株式を上場した時だ。

 上場企業は業績予想を発表しなければならない。

 日本企業は簡単に業績予想を修正する。

 しかし、目標を見事に達成する経営者もいる。

 目標をあくまでも達成する経営者でなければ、現在のような激しい経済状況変化に耐えられないと思う。


 こうしたいと決めたのなら、経営者は強い意志でやり抜かなければならない。

 その時に必要なのは従業員の共感だ。

 目標が従業員が全員がやろうと思うものかどうかが大切だ。

 経営者の意志を全従業員の意志に変えるのが必要。

 高い経営目標をボトムアップで従業員から上がってきたようにする。

 方法は難しくはない。

 うちの会社は素晴らしい可能性があり、将来は大きく発展するというベースを作る。

 コンパで来年は倍にしようと言う。 そういう時に、おっちょこちょいで調子の良い社員に、やりましょうと言わせる。

 頭の良い社員に言うと、できない理由を並び立てる。

 つまり経営も心理学だ。

 絶対に目標は高く設定しチャレンジしていくことが大切。

 あまりにも高い目標を立てて何年も達成しなければ誰もが真剣に受け止めなくなる。

 しかし、前年にわずかに乗せただけの経営目標では会社はダイナミズムがなくなる。


 私は京セラが小さかった頃に、達成したら全員で香港旅行をしよう。しかしもし達成しなかったら全員で禅寺に行こうと宣言した。

 そうしたら見事達成して、全社員で香港旅行となった。

 このように単に目標を達成せよと言うのではなく、従業員の気持ちをリフレッシュし、モチベートする工夫が必要だ。

 最も大切なのは手練手管ではなく、何としても達成したい気持ちを従業員に率直に訴えかけるべきだ。

 かつて私はすべての部門の忘年会に出席したことがある。

 目標と達成の意志について理解を得たいと思ったからである。

 日本航空でも同様だった。

 毎日ホテル住まいで、朝から晩まで続く会議で細かな数字を追っていった。

 そうした私の懸命な姿を見て、日本航空の従業員は私の達成への意志を感じたはずである。

 経営者の意志で現れである経営目標を従業員と共有することが最も大切。

 そして、それができれば企業は必ずや発展する。


 ■8.燃える闘魂

 〜経営にはいかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要


 実は先般、毎日新聞主催で講演をした。

 低迷する日本経済を再生するには燃える闘魂が必要だという話をした。

 大変感銘を受けたということで、本を作ってくれと言われた。

 というわけで「燃える闘魂」という本が近いうちに出版される。


 昨年の盛和塾世界大会でも話したが、経営おいても格闘技で必要とされる闘魂が必要だ。

 人が良すぎて喧嘩もしたことがない人は、闘争心のある人に社長の座を譲るべきだ。

 たとえ小さな企業でも、従業員を守るために凄まじい闘志で企業間競争に臨まなければならない。

 厳しい市場競争に負けそうになった京セラの社員には、かつて後ろから機関銃で撃ってやるといったものだ。

 経営においては、いくら企業間競争に打ち勝っても、円高、国際紛争、自然災害とあらゆる変動要素が発生する。

 安易にそれらを口実にしてはならない。

 こんにちに至るまでの京セラの道のりは平坦ではなかった。

 円の変動相場制。

 ニクソンショック。

 日米貿易摩擦。

 プラザ合意。

 長期に渡る経済低迷。

 サブプライム危機。

 次から次へと巨大な景気変動の波に襲われ、多くの企業が衰退していった。

 しかし京セラは違った。

 それは絶対に負けるものかという強い思い。燃える闘魂があったからだ。

 いかなる景気変動にも負けず、成長発展を目指してきたからだ。


 燃える闘魂には、優しい闘魂という意味もある。

 幼い鳥が襲われそうになったときに、親鳥は身を呈して守ろうとする。

 凄まじい闘魂と勇気だ。

 経営者として責任を果たすならば、そのような闘魂も必要だ。

 一度経営者となった瞬間に多くの従業員を守るために敢然と立ち向かう。

 また、なぜそのようなことができるのか。

 それは自分の従業員を何としても守らなければならないという経営者の責任感だ。

 責任感があれば、強い意志が備わる。

 今の日本では、自らの保身に走る経営者が多くなっている。

 自分で責任を取らず、部下が辞めていく。 日本ではアベノミクスにより、景気に楽観的に考えている人がいる。

 しかし、つい先日まで日本経済は6重苦に悩まされて悲観していたはずである。

 景気や経済変動に一喜一憂すべきではない。

 燃える闘魂で、誰にも負けない努力を行い、創意工夫を重ねるのだ。


 ■9.勇気をもって事に当たる

 〜卑怯な振舞いがあってはならない


 物事を判断するときには勇気が必要。

 人間として何が正しいかという原理原則に従い判断すれば誤りはない。

 多くの経営者が原理原則で判断しなければならないときに、様々なしがらみが生じ、判断を誤ることがある。

 政治家の横ヤリ、社内不祥事などの場面で、人間として何が正しいかという原理原則で判断せず、波風を立てないという基準で判断する時がある。

 断固たる判断。それが経営者の真の勇気。

 原理原則に基づいた正しい判断には勇気が必要。

 経営者に勇気がなく、怖がりで逡巡しているさまは従業員に伝染する。 たちまち信頼を失う。 経営者のふがいない姿は企業内に野火のごとく蔓延する。


 経営者に必要な勇気は胆力とも言える。

 知識・見識・胆識。 知識は様々な情報を理性のレベルで知っているということ。

 単なる知識はものしりだということ。

 知識を見識にまで高める必要がある。

 知識が信念にまだ高まった時に見識になる。

 社長は見識、つまり信念を伴った知識でなければ正しい判断はできない。

 しかし、見識に勇気が備わった時に胆識と呼べるようになる。

 何も恐れない。

 胆識が経営者に備わって初めて、いかなる状況でも正しい方向に経営の舵をとれる。

 真の勇気が経営者がもっているか。

 ぜひ胆識、魂の奥底からの勇気を持って正しい判断をしていただきたい。


 ■10.常に創造的な仕事を行う

 〜今日より明日、明日より明後日と常に改良・改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。


 米国を代表するジャーナリスト、デイビット・ハルバースタムが著書「ネクストセンチュリー」で私のことを書いた。

 「次にやりたいことは、わたしたちには決してできないと人から言われたものだ」

 (What We like to do next is what people tell us we can never do)


 京セラはファインセラミックスという新しいものに取り組んだ。

 そして何兆円という規模の産業にした。

 つまり、ファインセラミックスの素晴らしい特性を生かして、ICパーッケージをつくったのだ。人工骨なども。

  このような独創的な企業経営ができた理由は京セラの技術開発力だけではない。

 技術がないから発展しないと嘆いてはいけない。

 他社に傑出した技術を持っている中小企業などない。

 今日より明日、明日よりあさってと常に改良・改善を絶え間なく続けるかどうかで、独創的な経営ができるかどうかが決まる。

 たとえば掃除。(略)

 東京駅で新幹線の掃除をする会社が注目されている。

 従業員参加型で創意工夫をして、モチベーションアップをしている会社がある。

 もし私が掃除会社を任されたら、誰にも負けない努力を創意工夫を重ねながら展開し、日本一、世界一の掃除会社にする。


 一日の差はわずかだが、1年もすると大きな変化になる。

 世の中の大発明もそのような地道な努力、創意工夫で生まれている。

 常に創造的な仕事をすることを業務方針とするのだ。

 そして経営者が率先垂範するのだ。

 京セラも太陽電池、複写機など広範囲に展開している。 最初はファインセラミックスしかなかった。

 独創的な経営が最初からできるわけではない。

 日々改良改善を求め、創意工夫を続けるかが鍵だ。

 そして未来進行形で考えることが必要。

 「できない」ことを「できる」に変えるのだ。

 現在の力で考えるのではなく、未来のある一点で達成することを決めてしまうのだ。

 いまはできないものを何としてもやり遂げたいという強い思いでしか創造的企業は生まれない。

 

 ■11.思いやりの心で誠実に

 〜商いには相手がある。相手を含めてハッピーであること。皆が喜ぶこと。


 思いやりは利他の心だ。

 自己犠牲を払っても相手に尽くそう。

 しかし思いやりや利他など、ビジネスの世界では実現は難しいと考える人が入る。

 しかし思いやりの心が最も大切。 情けは人のためならず。


 京セラが米国AVX社を買収したときのこと。(略)

 米国での企業買収に日本企業が成功した例はほとんどない。

 利害得失だけを考えるか、本当に相手のことと思いやるか。

 利他の心は一見損をしても、長い目で見ても素晴らしい効果がある。


 ■12.常に明るく前向きで、夢と希望を抱いて素直な心で経営する


 経営者はたとえどんな逆境があろうとも、常い明るく前向きでなければならない。

 苦しい局面でも夢と希望を失ってはならない。

 経営の諸問題に押しつぶされそうになった時、悲壮感がただよう。

 悲壮なまでに思いつめて悩みぬいて経営しなければならないのか。


 経営には凄まじい闘魂、くじけない意志力が必要。

 だからこそ、普段から明るく振舞わなければならない。

 なんとしてもやらなければならないという強い思い。

 何があっても自分の将来は輝かしい未来があると、楽観的生き方をしてほしい。

 自分の人生をポジティブに見る。

 これは生きる要諦、経営の要諦だ。

 努力をすればなんとかなると信じて、更に努力をする。

 無理矢理でも自分にそう思わせて努力を重ねる。

 そういう明るさは必ず報われる。

 それは自然がそのように作られているから。

 宇宙の意志。

 美しい心、思いやりに満ち、謙虚で感謝を忘れず、素直な心で努力を重ねる。

 善き心をもって善き行いをすれば必ずよい成果が現れる。

 日本航空でもそうだ。

 日本航空の奇跡の再建においては、我々の想像を超えた偉大な力が働いたと言わざるをえない。


 1つの自力と2つの他力を使うのだ。

 1つの自力とは、経営12ヶ条を通じて経営者の力を最大限に発揮することだ。

 2つの他力とは、1つ目は従業員の力を使うことだ。

 2つ目は、この世に存在する偉大な力(サムシンググレート・宇宙の意志)の助けを使うことだ。


 ■まとめ


 本日は、経営者が何を思い、何をすべきかを話した。

 まずは今日お話したことを懸命に努めていただく。

 あとは従業員の力と、偉大なる天の力(サムシンググレート・宇宙の意志)を使う。 そうすればみなさんの企業は必ず進歩発展する。


 盛和塾は盛友塾から30年という節目。

 盛友塾の時、京セラの売上は2500億円。今では1兆3000億円。

 第二電電も設立し、その後KDDIとなり今では売上は4兆円を超える。

 日本航空は世界最高の利益を上げる立派な航空会社になった。

 盛和塾は8000名の塾生。

 稲盛財団は京都賞で世界有数の顕彰事業を行う。

 このような想像を超えた大きな成長と発展は、私が特別なことをしたわけではない。

 そんな私の経営のエッセンスが経営12ヶ条だ。

 経営12ヶ条の実践が今日をつくった。

 そして天の目に見えない助力をいただいた。

 12ヶ条を通じて素晴らしい経営をして、盛和塾生が多くの社員の物心両面の幸福を実現することを祈念する。

 

 ※経営の原点12ヶ条はこちらをご参照ください。

  http://www.3egroup.jp/category/1579110.html

誰にも負けない努力をする

2013-07-15

 私の座右の銘は「誰にも負けない努力」です。

 今回は、なぜ私が「誰にも負けない努力」を座右の銘とするのかを書きます。

 ◇「誰にも負けない努力」は経営を伸ばすために最も大切なこと。


 「誰にも負けない努力」は、スリーイーフィロソフィの「三大方針」のひとつでもあり、また「フィロソフィの根幹」12項目のひとつでもあります。

 また「誰にも負けない努力」は、盛和塾稲盛塾長(京セラ・KDDI創業者、日本航空名誉会長)の「経営の原点12ヶ条」の第四条にもありますし、「六つの精進」では一番目の項目です。

 稲盛塾長は「誰にも負けない努力」を「我々が生きる上で一番大切なこと」としています。また「誰にも負けない努力」について、このようにもおっしゃっています。

 「言葉をかえれば『毎日一生懸命働く』」ことが経営で最も大事」

 「このことを除いては、経営の成功も人生の成功もありえない」

 「一生懸命に働くこと以外に成功する道はない」

 「京セラ成功の理由の第一番目も、第二番目にも、第三番目も『誰にも負けない努力』をしたこと以外にはない」

 これほどまでに「誰にも負けない努力」は、経営を伸ばすための絶対的な条件なのです。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、誰もついて来ない。


 私は、経営者こそが「誰にも負けない努力」をしなければならないと思っています。

 経営者にとって、会社は自分のものです。特に中小企業においては、経営者は銀行に個人保証をさせられていますので、会社が倒産すれば経営者個人も再起不能に陥ります。

 まさに一心同体。経営者と会社は運命を共にしているのです。

 しかし、従業員にとってはどうでしょうか。

 会社が成長しても、自分が得をするわけでもないし、関係ないことだ思う人もいることでしょう。

 いくら頑張っても会社と経営者が儲かるだけだから、給料以上に働くと損をすると考える人もいることでしょう。

 会社が倒産しても、他に就職すればいいわけだし、会社が危機だとしても経営者がなんとかするべきであって、従業員には何の責任も義務もないと考える人も多いことでしょう。

 では、どのようにすれば経営者は従業員の力を最大限に発揮させることができるのでしょうか。

 それは、従業員の心をつかむしかありません。そして従業員の心をつかむためには、少なくとも経営者自身が「誰にも負けない努力」をしなければ、誰もついて来ないでしょう。

  経営者自身がすさまじい努力を重ね、全身全霊を込めて経営に打ち込んで初めて、従業員の心が揺さぶられるのだと私は思います。

 だからこそ、私は自分自身に「誰にも負けない努力」を課さなければならないと思っています。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、熾烈な競争に勝つことはできない。


 「現状維持は退歩の始まり」です。

 少子高齢化が進む日本。産業の競争力は弱まり、往時の勢いはどこへ行ったのでしょうか。

 しかし、この日本という成熟化社会の中で、優秀な企業や人が皆、必死に業績を伸ばそうとしているのです。

 そんな中で、ちっぽけな中小企業が現状維持しか考えていないようでは、周囲の競争が激烈ですので、やがては競争に負けてしまいます。

 中小企業が「このままでいいや」と努力を放棄し、守りに入っていると、堕落し没落するのは必至です。

 優秀な競争相手が皆努力をしているのですから、私たち自身が「誰にも負けない努力」をしなければ、到底熾烈な競争に勝つことはできません。

 人並みの努力では、決して厳しい競争に打ち勝つことはできないのです。

 ですから、私たちは次から次へと新しいことにチャレンジし、「誰にも負けない努力」で進歩・発展を目指さなければなりません。

 大きく高い目標を立て、「誰にも負けない努力」で迫り来る困難を乗り越え、大きく高い目標を成し遂げていくことでしか、私たちの未来を拓く方法はないと思います。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、能力不足を克服することことはできない。


 私は、大した能力のない自分にできることは、「誰にも負けない努力」をすることだけだと考えています。

 世の中には賢い人がたくさんいます。厳しい競争社会において、若い頃から人並み以上の努力を重ねてきた人がたくさんいます。

 ですから、私を含めて大した能力のない人、大した努力をしてこなかった人に到底勝ち目はありません。

 能力不足を補う方法はただひとつです。

 「誰にも負けない努力」で、能力不足・過去の努力不足を克服するしかないと私は思います。


 ◇「誰にも負けない努力」は人としての正しい生き方。


 「怠惰に過ごすこと」と「努力をすること」のどちらが人として正しい道でしょうか?

 答えは明白です。

 「誰にも負けない努力」は、人としての正しい生き方なのです。


 ◇「誰にも負けない努力」により、魂が磨かれ、素晴らしい人間に成長できる。


 「誰にも負けない努力」は、人間性を磨くことにつながります。

 朝早くから夜遅くまで一生懸命に働けば、暇がありません。

 「小人閑居して不善をなす」といいますが、人間は暇があればろくなことを考えないし、ろくなことをしません。

 ですから、忙しければ余計なことを考えなくても済みます。余計なことをしでかして失敗することも防ぐことができます。

 つまり「誰にも負けない努力」は、雑念妄念を取り去り、心を磨き、素晴らしい人間性、人格を形成することにつながるのです。


 ◇「誰にも負けない努力」とは生易しいものではない。

 「一生懸命仕事をしてますか?」と聞くと、ほとんどの人が「一生懸命やっています」と答えます。

 しかし「誰にも負けない努力」とは、そのような生易しいものではありません。

 単に「頑張っています」「一生懸命やってます」ではダメなのです。ほどほどの努力では到底「誰にも負けない努力」をしているとは言えません。

 「誰にも負けない努力」とは、誰もができるような、簡単なものではありません。「凄まじい努力をすること」「毎日、これ以上やったらぶっ倒れるほど努力すること」を意味しています。

 もし知的活動であるならば、「考えて考えて考え抜く」「寝ても覚めても考える」「四六時中考え抜く」ことを意味しているのです。


 ◇「誰にも負けない努力」をして初めて運が巡ってくる。


 経営の原点12ヶ条の「誰にも負けない努力」の副題には、「地道な仕事を一歩一歩、成功に近道なし。堅実に弛まぬ努力を」とあります。

 どんな偉大なことも地味な努力の積み重ねです。どんな地味な仕事でも、続けさえすればあっと驚くような偉大な仕事に成長発展します。

 何事も一足飛びには成し遂げることはできません。一攫千金を狙うような仕事のしかたでは、決して成功することはありません。

 どんな注文でも一個一個歩いてとっていかなければならないのです。

 しかし現実はなかなかそれができない。

 目標は大きい。「こんなことで大きな目標が達成できるのか」とどうしても思ってしまうのです。しかし、どんな偉大なことでも地味な努力の積み重ねです。

 いっぺんに売上が上がらないか、もっと簡便な方法がないかと考えるところから間違いが始まるのです。

 どんな巨大などんな目標であろうと、賽の河原の石を積み上げるような、気の遠くなるような努力の積み重ねなのです。

 誰にも負けない努力をしていれば、いつの日か神様が「あの会社の従業員はあれほどの努力をしているのだから助けてあげよう」と思ってくれるのです。

 逆にいうと、神様が助けたいと思うほどの努力をしなければ、我々の行く手に成功はありません。

 どんな偉大な仕事でも、些細な、地道な仕事の一歩一歩の積み上げです。

 地味な努力の積み重ねが偉大な成功を生むことを信じ、日々努力を積み重ねることが大切なのです。

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