エコリカ設立当初の第一の課題は、使用済みインクカートリッジ回収をどうやって行うかだった。
インクカートリッジをリサイクルし、資源循環型社会の実現に貢献するには、まず空のインクカートリッジを集めなければならない。
弁当屋さんをやるには、ごはんとおかずだけではダメで、入れ物である弁当箱が必要だが、インクにはもちろんカートリッジという入れ物が必要で、エコリカはそれを再利用するわけだから、回収業務は何よりも重要である。
使い捨てられ、浪費されていく資源をどのように我々の手で回収するか。
どのように資源再利用を一般消費者に訴えていくか。
悩みに悩んだ。
スリーイーグループはリサイクルトナーの分野では16年の歴史を持っているが、以前書いたように、トナーカートリッジは定価が1本20,000円〜50,000円で、1本単位で使用済みカートリッジを回収しても流通コストが吸収できる商品だ。
それに対して、インクカートリッジの定価は1本1,000円〜2,000円で、個別の回収ではとてもカートリッジ回収コストが吸収できそうになかった。
回収コストが高いという点においても、インクカートリッジ回収は困難が予想された。
これらをどうやって克服するか。
我々は資本金の大半を空カートリッジ回収のための先行投資に回すことを決断した。
家電量販店店頭のエコリカ回収ボックス
家電量販店やカメラ量販店にエコリカ回収ボックスの設置をお願いすることにしたのだ。
最初の頃はこの回収ボックスの制作費用がかかりすぎたが、その後量産効果も出てきて回収ボックスのコストが下がっていった。
そして、エコリカの回収ボックスは全国津々浦々のショップに設置が進んだ。
“リサイクルによるエコロジーへの協力”という点でも小売店のイメージアップ効果もあり、エコリカの趣旨に賛同していただけるエコリカ回収ボックス設置店舗がどんどん増えていった。
それまでは、キャノンやエプソンの回収ボックスで使用済みインクカートリッジが回収されたとしても、再利用はされていなかった。
エコリカの回収ボックスにより、やっと資源再利用の道が開かれたのだ。
エコリカ回収ボックスの大量設置により、インクカートリッジの【回収→再生→販売→また回収】の資源循環サイクルが実現し、インクカートリッジのリサイクルは普及に向けてまた一歩近づいた。