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設立以来9年。

エコリカは、人と地球に貢献するために邁進してまいりました。

今や、インクカートリッジにおけるマーケットシェアは約10%。

リサイクルインクにおけるマーケットシェアは約90%。

ここでは、エコリカのたどってきた道(軌跡)と、急速な認知と普及(奇跡)などを語ります。

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エコリカは2004年秋から、今のパートナーであるエステー産業に製造委託先を移した。

エステー産業はさすがだった。
ものづくりの歴史が違った。

エステー産業は、インクロールの製造からスタートし、インクリボン、LBPユニット、トナーカートリッジリサイクルを経て、1993年から汎用インクカートリッジを製造している国内オンリーワン企業であった。
30年以上に渡るプリンター関連技術の蓄積は大きかった。

ユーザーが自宅でインクを詰め替える場合は、インク漏れや印字不良などの問題があっても自己責任なので問題にはならない。
しかし、エコリカは商品を店頭で販売するので、たとえリサイクル商品であっても長期間にわたって品質を維持しなければならない。
もちろんインク漏れがあってはならないし、印字不良が発生してはならない。
単にインクを注入するだけでは解決できない、様々な難問を技術でカバーしていく必要がある。

また、エステー産業は過去にエプソンから訴えられて、事実上勝訴を勝ち取った経験もあった。
どんな製品でも知的財産権保護の観点を欠かせてはならないことは当たり前なのだが、特にインクカートリッジ分野については純正メーカーがインクカートリッジをドル箱として位置づけており、その独占的利益を確保するため、ありとあらゆる方法で攻撃してくることが予想された。
だからインクカートリッジはリサイクルをする上で、メーカーの持つ特許を研究し、それら特許に触れない再利用の方法を確立する必要がある。
そういった面で、知財戦略においてもエステー産業には一日の長があった。

綿密な議論を重ねた上で、エコリカはエステー産業に製造を一括して委託することになった。
そして設立以来の悲願であった、品質問題の解決が実現したのである。

ジットが持っていたエコリカの株式も、エムエスシー、スリーイーグループ、取締役の杉浦先生が買い取り、エコリカは新たな体制となった。

品質問題を克服したエコリカは、その後急速に市場シェアを伸ばし、発展していくこととなる。

 リサイクルインク・エコリカ新着情報

エコリカの使命は、純正インクカートリッジしか知らない人たちが圧倒的に多い世の中に、リサイクルインクの存在をありとあらゆる方法で知らせて普及に努め、人と地球に貢献することにあった。
 
エコリカが普及すると使用済みカートリッジの再利用が増え、資源循環型社会の実現に一歩近づく。
だからエコリカの普及のためには、エコリカを知ったユーザーがエコリカの品質を認めてくれてリピートユーザーになっていただく必要があった。
つまり品質が悪くてはお話にならないのだ。
しかし、エコリカ設立当初は製品の品質があまりよくなかった。
 
我々には社会的使命がある。どうしても品質を改善しなければならない・・・
メーカー純正品は、仮に品質が悪くてもメーカー指定品なのでお客様からそっぽを向かれることはないだろう。
だが、エコリカはサードパーティー品である。
一度お客様に嫌われたら、信頼を取り戻すのは相当難しい。
エコリカが良くないと思ったユーザーは、二度とエコリカを買ってくれないのだ。
 
品質問題の解決は難航した。
いろいろ努力したが、当時のエコリカの体制では品質問題を解決できないという結論になり、設立当初製造を依頼していた株式会社ジットと別れることになった。
2004年秋のことである。
ヨドバシカメラがエコリカの導入に踏み切ったことで、世の中が変わった。
 
インクカートリッジは、トナーカートリッジとは違って一般消費者向け商品に位置づけられ、家電量販店がその大部分を販売している。
通常、家電量販店は売り上げのかなりの部分を家電製品やパソコン、周辺機器に依存しているので、それらのメーカーがいやがることはやりにくい。
エコリカを販売することは大変いいことだし、地球環境にも貢献できてお客様も喜ぶのはわかってはいるが、キャノン・エプソンなどのメーカーの手前、当初はなかなかエコリカの導入を決断できる家電量販店は少なかった。
 
そんな中で、ヨドバシカメラはさすがだった。
エコリカの趣旨に全面的に賛同してくれて、真っ先にエコリカ回収ボックスを全店の店頭に大量に設置してくれた。
そして一気に全店のインクカートリッジコーナーに大々的にエコリカを陳列してくれた。
メーカーの意向を尊重しながらも、消費者のためにやるべきことは決断し実行する・・・
その姿は全く正当であり、実に勇敢で、エコリカにとって大変にありがたいものだった。
 
ヨドバシカメラの家電量販業界における存在感は大きく、バイヤーさん達は定期的にヨドバシカメラの店頭を訪れている。
そしてヨドバシカメラの店頭でエコリカが大々的に陳列されている事実に衝撃を受けた他の家電量販店のバイヤーさん達は、次々に自社の店頭へのエコリカ導入に踏み切った。
 
エコリカの普及に弾みをつけたのは、ヨドバシカメラだといっても過言ではない。
エコリカの製品パッケージは「ジッパー袋」タイプにした。
エコリカのジッパー袋
なぜエコリカは袋入りにしたのか。
なぜ一般的な紙箱入りにしなかったのか。
 
理由はこうだ。
 
【1】ジッパー袋で廃棄物を回収
 
インクカートリッジのリサイクルを普及させるには、まず空カートリッジの回収が必要だ。
回収方法としては、ユーザーに空カートリッジを店頭の回収ボックスまで運んでいただくわけだが、運んでいる途中でユーザーの鞄や服が汚れるようではいけない。
インクの付着を防止するために何か防御策が必要だった。
 
また、空カートリッジはただ回収するだけではだめで、エコリカが製品として蘇らせる必要がある。
カートリッジが壊れて届いてはいけないのだ。
だから回収時のカートリッジへの衝撃防止対策が必要だ。
 
エコリカはこれらの課題を解決させるために、製品のパッケージ自体をジッパー袋にして、空カートリッジ入れとしても代用できるようにしたのだ。
 
【2】環境包装
 
昨今環境にやさしい包装が求められる中、エコリカは徹底的に包装を簡略化した。
製品に対する衝撃吸収を図る必要がある中で、許される限りの簡略包装を考え袋入りの包装とした。
 
さらに、ユーザーがエコリカの袋に空カートリッジを入れてエコリカ回収ボックスまで運んでいただき資源再利用に協力していただけると、自然にエコリカの製品袋も回収できることになり、袋自体の再資源化も図れるわけだ。
 
【3】外からの視認性
 
インクカートリッジをリサイクルしてユーザーに購入してもらう取り組みは、全く新しいものであった。
ユーザーはリサイクル品を全く認知していない状態だったわけだ。
 
リサイクル品って大丈夫だろうか?
いい加減な商品じゃないのか?
ユーザーにこんな疑問が湧いても不思議ではない。
 
そこでエコリカは、ユーザーに安心感を与えるために商品を透明な袋に入れた。
そうすることによって、ユーザーはいつも使っているインクカートリッジとなんら変わらない商品であることを一目で判断できる。
 
初めての商品には心理的な抵抗感が強いものだ。
エコリカがいくら環境にやさしい商品だと理解できても、ユーザーが一歩踏み出し、商品を手に取っていただくためには、ユーザーの心理的抵抗感を和らげる必要があると考えたのだ。
 
【4】エコリカの存在感のアピール
 
家電量販店などのインクカートリッジコーナーでは、当然ながらキャノン・エプソンの大きなコーナーがある。
また当初お客様は、インクカートリッジを買うにはメーカー純正品しか選択できないと思い込んでいる。
そんな中で、どのようにリサイクルインクを店頭でアピールするのか。
どのようにして、お客様の認知度を上げるのか。
 
エコリカは袋入りの包装でデザインが緑色だ。
なぜそのようにしているかといえば、店頭のインクカートリッジが紙箱入りのものばかりの中で、一風変わったエコリカの緑の袋でエコリカの存在感をアピールするためでもある。
 
エコリカ、それは常に一歩先を歩み、道なき道を切り拓いていく。

エコリカ設立当初の第一の課題は、使用済みインクカートリッジ回収をどうやって行うかだった。

インクカートリッジをリサイクルし、資源循環型社会の実現に貢献するには、まず空のインクカートリッジを集めなければならない。
弁当屋さんをやるには、ごはんとおかずだけではダメで、入れ物である弁当箱が必要だが、インクにはもちろんカートリッジという入れ物が必要で、エコリカはそれを再利用するわけだから、回収業務は何よりも重要である。
使い捨てられ、浪費されていく資源をどのように我々の手で回収するか。
どのように資源再利用を一般消費者に訴えていくか。
悩みに悩んだ。

スリーイーグループはリサイクルトナーの分野では16年の歴史を持っているが、以前書いたように、トナーカートリッジは定価が1本20,000円〜50,000円で、1本単位で使用済みカートリッジを回収しても流通コストが吸収できる商品だ。
それに対して、インクカートリッジの定価は1本1,000円〜2,000円で、個別の回収ではとてもカートリッジ回収コストが吸収できそうになかった。
回収コストが高いという点においても、インクカートリッジ回収は困難が予想された。
これらをどうやって克服するか。

我々は資本金の大半を空カートリッジ回収のための先行投資に回すことを決断した。

エコリカの回収ボックス
エコリカ回収ボックス

家電量販店店頭のエコリカ回収ボックス


家電量販店やカメラ量販店にエコリカ回収ボックスの設置をお願いすることにしたのだ。
最初の頃はこの回収ボックスの制作費用がかかりすぎたが、その後量産効果も出てきて回収ボックスのコストが下がっていった。
そして、エコリカの回収ボックスは全国津々浦々のショップに設置が進んだ。
“リサイクルによるエコロジーへの協力”という点でも小売店のイメージアップ効果もあり、エコリカの趣旨に賛同していただけるエコリカ回収ボックス設置店舗がどんどん増えていった。

それまでは、キャノンやエプソンの回収ボックスで使用済みインクカートリッジが回収されたとしても、再利用はされていなかった。
エコリカの回収ボックスにより、やっと資源再利用の道が開かれたのだ。

エコリカ回収ボックスの大量設置により、インクカートリッジの【回収→再生→販売→また回収】の資源循環サイクルが実現し、インクカートリッジのリサイクルは普及に向けてまた一歩近づいた。

エコリカの社会貢献をわかりやすい形で実現する方法はないものか・・・

スリーイーグループは平成13年10月に国際環境規格ISO14001を全社で認証取得したが、その過程で世界最大の自然保護団体であるWWFへの寄付活動を始めていた関係で、エコリカにWWFへの貢献を提案した。

WWFは1961年にアフリカの野生生物を危機から救うために、自然保護のための資金を集める国際組織としてスイスに設立されたNGO(非政府組織)である。
WWFは各国の環境保護団体と連携しながら、「野生動物保護」「森林保護」そして「地球温暖化対策」の活動を行っている。

エコリカはインクカートリッジのリユース・リサイクルの普及を推進するとともに、確固たる社会貢献をしたいと強く望んでいた。
WWFは、その社会性から見ても活動内容から見ても、エコリカが支持し、寄付を行うのに申し分のないNGOであった。

そしてエコリカは、WWFの趣旨に賛同した上で、自分たちの活動がインクカートリッジの分野にどどまらず、広く世界に役立てていこうとの思いから、設立当初からWWFへの寄付を開始した。
再利用されたリサイクルインク・リサイクルトナーについて、WWFの活動資金としてエコリカ製品の販売1個につき1円を寄付するというものだ。

この寄付活動はエコリカ設立以来継続して実施されており、当初の寄付額は多くはなかったが、その後のエコリカの普及により、今ではかなりの額の寄付が行われている。

『小さいことからはじめよう』

宗廣社長と私が二人で思い立ったインクカートリッジリサイクルの活動は、ごく小さな一歩から始まったが、今では大きな、そして確かなムーブメントになりつつある。


  21世紀は環境の世紀と呼ばれています。
 
  環境破壊・資源浪費を繰り返しながら築き上げた20世紀の人類の繁栄は、すでに取り返すことができないレベルの負の遺産を残してしまいました。
  地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯雨林の伐採、野生生物の減少、人口爆発、不法投棄、土壌汚染、化学物質汚染、水質汚染、大気汚染、資源枯渇・・・・これらの負の遺産に対して我々は決して目をそらしてはいけません。走りつづけ、結果、今過去を振り返り、決して繰り返してはならないものを我々は強く認識しなければなりません。
 
  エコリカは、エコロジー&エコノミー・リサイクル・カンパニーです。コンピュータ消耗品のエキスパートが集い、「人と地球に貢献します」を合言葉にエコリカを設立しました。
  便利なインクジェットプリンターも、ひとたびインクカートリッジの交換となると大変なお金がかかります。・・・何とかカートリッジ代を安くする方法はないのだろうか?・・・誰しも思うことでしょう。
  また、使用済みのカートリッジを廃棄すると、資源の浪費・廃棄物による環境破壊にもつながります。・・・何とかカートリッジを捨てない方法はないものだろうか?・・・誰しも思うことでしょう。
 
  エコリカは、人に貢献します。インクカートリッジの使用済みを回収し、それをリサイクルした商品を安価で提供します。そして、プリンターを使う「人」が少しでも安いコストで印刷ができるようにお手伝いします。
 
  また、エコリカは地球に貢献します。資源浪費・環境破壊につながる使用済みカートリッジを積極的に回収し再利用に供することで、我々の地球を責任を持って次の世代に残していくお手伝いをします。
 
  人類の持続的な繁栄は、これからの環境対策にかかっています。そのためには、ひとりひとりの個人が環境を意識し、いかに環境に貢献できるかを考え、行動することが必要です。
  エコリカは、エコリカ自身の環境活動と共に、プリンターユーザーへの環境意識の啓蒙・浸透をもあわせてその経営理念とし、さらに今後環境貢献型商品の開発を通して、社会に貢献することを強く目指します。
エコリカの活動は社会に対するメッセージの発信であり、社会貢献なんだ。
我々は、インクカートリッジのリサイクルの普及という大きな希望を持つと同時に、社会的使命を強く感じていた。
 
カートリッジを使い捨てにするのは大変便利かもしれないが、果たしてそれでいいのか?
プリンターメーカーは使い捨て商品を大量に作って大儲けをしているが、果たしてそれでいいのか?
 
使用済みのインクカートリッジは回収をすべきではないのか?
カートリッジは再利用すべきではないのか?
ユーザーはインクカートリッジをもっと安く買ってもいいのではないのか?
 
これらの私たちの思いを、ひとつの言葉にしよう。
わかりやすく、かつ深く心に刻むことができる言葉をつくろう。
そして、エコリカのメッセージ『人と地球に貢献します。』が出来上がった。
エコリカロゴ
インクカートリッジをもっと安く買えるようにすることで人に貢献し、インクカートリッジの回収と再利用で地球環境に貢献する。
 
これはエコリカのスローガンでもあり、キャッチフレーズにもなった。
早速、リサイクルインクの新会社の名前とマークを決めることになった。
 
設立当時から、この新会社は将来、社会的にとても重要な意味を持つことになると思った。
だから新会社には、リサイクルインクのブランドとして世の中に強いメッセージを発信し、末永く価値を持ち続ける名前とマークが必要だった。
 
名前についてはいろいろな案が出たが、最終的にエコロジー・エコノミー・サイクル・ンパニーの頭をとって『エコリカ』に決まった。
ecology economy recycle company ⇒ecorica だ。
いい名前だ。
なかなかかわいらしい名前なので、エコちゃん、リカちゃん人形を出したいという話にもなったが、さすがにこれは実現しないでいる。
あたり前だが。
 
エコリカのマークは、プランニングロケッツの松原さんが考えてくれた。
カートリッジの再生と、地球環境貢献の両方のイメージがあるいいマークができないか・・・
マークの色は環境ブランドなのでやっぱり緑だね・・・
そして、カートリッジから木の葉が生えている緑色のこのマークが誕生した。
エコリカマーク
平成15年7月1日、エコリカはスリーイーグループとエムエスシーとジットの三社で、1000万円ずつ資本金を出し合ってスタートした。
 
エムエスシーは家電量販店に対するパソコン周辺機器卸ビジネスのノウハウを提供し、
スリーイーグループはカートリッジリサイクルのノウハウ、使用済みカートリッジ回収と物流のノウハウを提供し、ジットは製造を担当し、
エコリカ設立当初の三社体制はスタートした。
リサイクルインク事業開始の話はとんとん拍子に進んだ。
 
まず最初に、私から製造委託先として株式会社ジットに声をかけた。
以前からエステー産業の汎用インクをジット経由でスリーイーグループが仕入れ、それをエムエスシーに販売しており、ジットが当社の取引先だったからだ。
 
なぜ今エコリカのパートナーであるエステー産業を最初から製造委託先に選ばなかったのかというと、当時エステー産業と当社は取引がなくなっていたからだ。
エステー産業は以前甲府工場でトナーカートリッジのリサイクルをやっており、スリーイーグループの仕入先でもあったのだが、その後エステー産業はトナー事業から撤退し、当社との取引はなくなっていた。
エステー産業は汎用インクカートリッジにおいて確固たる実績があったのだが、エコリカ設立当時は当社との取引がなくなっていたので、エステー産業には声をかけなかったのだ。
 
というわけで、私はジットにリサイクルインクの製造を打診した。
すると「リサイクルインクは製造可能」と回答が来た。
そうなると話は早い。
すぐに私と宗廣社長とジットの社長の三人で会談を行い、リサイクルインクを販売する新会社設立で合意した。
スリーイーグループは、トナーカートリッジの黎明期に設立され、パソコンの市場拡大とレーザープリンターの普及とともに成長してきた。
しかしパソコンの普及が一段落すると、過去に経験したような急激な市場拡大はその後は見込めず、新たな事業展開を必要としていた。
 
そんな中で宗廣社長から
「インクカートリッジのリサイクルを一緒にやりませんか?」
とのお誘いである。
 
事業というのは不思議なもので、参入するのが早すぎても遅すぎてもいけない。
だが、宗廣社長のタイミングは絶妙だった。
 
①インクジェットプリンターが各家庭に普及したこと
②インクジェットプリンターの本体価格が低下しており、インクカートリッジの価格が本体価格に対して割高になっていたこと
③地球温暖化などの地球環境問題が国民に浸透し、身近な環境活動が盛んになっていたこと
④販売店やユーザーがメーカーの言いなりになる傾向が徐々に薄らぎ、純正品しか買えないことの不条理に気づく人が増えてきたこと
⑤公正取引委員会が、メーカーなどによる優越的地位の濫用に厳しい態度をとりつつあったこと
 
などが、絶妙なタイミングを後押ししていた。
今は完全にマーケットの認知を得たリサイクルインクカートリッジだが、スリーイーグループがなぜ2003年までインクカートリッジのリサイクルをやらなかったかというと、次の3つの理由があった。
 
(1)マーケットの違い
インクリボンから始めた私のビジネスはビジネスユーザーが対象マーケットだった。
つまり、企業が使う商品をずっと販売してきた。
トナーカートリッジもインクリボンと同様にビジネスユーザーを対象としていた。
それに対してインクカートリッジはインクジェットプリンター用なので、主としてパーソナルユーザーを対象とする商品だ。
したがって、インクカートリッジのリサイクルをやるにしても当時は販路がなかった。
 
(2)単価の違い
トナーカートリッジは定価が1本20,000円〜50,000円で、1本単位で販売しても流通コストが吸収できる商品だ。
それに対して、インクカートリッジの定価は1本1,000円〜2,000円で、とても流通コストが吸収できるレベルではなかった。
仮に流通コストを吸収しようとして最低単位を6本とかで販売すると、途端に注文が来なくなってしまう。
また、それに加えてリサイクル商品は、発送コストだけではなく使用済カートリッジの回収コストも負担することになるので、流通コストは通常商品の2倍以上かかることになる。
インクカートリッジは単価が低すぎて、リサイクル事業には不向きな商品だった。
 
(3)純正メーカーの激しい抵抗・攻撃が予想される
当社とエムエスシーは、元々エステー産業の汎用インクカートリッジ(純正品でない新品インクカートリッジ)の販売を共同で行っていた。
だが、インクカートリッジは純正メーカーのドル箱商品だったので、販売現場ではことあるごとに純正メーカーの激しい抵抗にあった。
某メーカーなどは、汎用インクカートリッジ排除のために、汎用インクカートリッジを店頭販売する家電量販店の各店舗を巡回し、それぞれの店長に対して「汎用インクを販売していると、プリンターの仕切り(卸価格)を値上げするぞ」と脅して回り、ビビった店舗が汎用品の取り扱いを中止するというような事態も起こったりしていた。
プリンターを安く販売してマーケットを押さえ、そのアフターマーケット(消耗品)で大きな利潤を上げるというプリンターメーカーのビジネスモデルに対して、純正品でないリサイクル品や汎用品は、完全にメーカーの目の上のたんこぶ、つまり邪魔者だった。
もしリサイクル品を販売しても、メーカーの激しい抵抗や攻撃が予想された。
我々中小企業は、プリンターメーカーという大資本の前ではあまりにも無力だった。
ある日、エムエスシーの宗廣社長から電話があった。
急ぎで会いたいというのだ。
長いつきあいでもあるし、ご無沙汰もしていたので早速大阪まで飛んだ。
 
話はこうだった。
「インクカートリッジのリサイクル事業を一緒にやりませんか?」
 
ピンと来た。
 
スリーイーグループは1990年の創業以来、トナーカートリッジリサイクルのパイオニアとして活動をして来たが、インクカートリッジのリサイクルには手を出していなかった。
 
なぜそれまでインクカートリッジのリサイクルをやらなかったかというと、それは
(1)マーケットの違い と
(2)単価の違い そして
(3)純正メーカーの激しい抵抗・攻撃が予想された
からだ。
『エコリカのキセキ』のコーナーでは、エコリカのたどってきた道(軌跡)、急速な認知と普及(奇跡)、エコリカの理念と目指す道などを語っていきたいと思っています。
 
乞うご期待!
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