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盛和塾稲盛和夫塾長最後の講話(第27回盛和塾世界大会より)

2019-07-17

盛和塾が今年解散となり、36年の歴史に幕を閉じます。

盛和塾は、京セラを創業した稲盛和夫氏が塾長を務めてこられ、これまでに国内外15000人の塾生が稲盛塾長の経営哲学を学んでまいりました。

私も塾生のひとりです。

稲盛盛和塾塾長は京セラを創業し、その後第二電電(今のKDDI)も創業されました。

そして、経営破綻した日本航空を奇跡の再生に導かれました。

その経営塾「盛和塾」が今年末で解散し、36年の歴史に幕を閉じます。

7月17,18日には、横浜市内で最後の世界大会が開催され、国内外から約4800人の経営者らが参加しました。

最終日には代読ではありましたが、稲盛塾長の最後の講話がありました。

その内容は、まさに盛和塾の歴史の集大成であり、我々経営者が未来永劫、忘れてはならない経営哲学、人生哲学、そしてフィロソフィが凝縮されていました。

今回はその内容をご紹介します。

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「フィロソフィをいかに語るか」


 今回で27回目を数える盛和塾世界大会に、全世界から4800名もの塾生の皆さんにお集まりいただきました。1983年に京都の若手経営者の要請にお応えして始まった、この盛和塾が日本のみならず、世界各国へと広がり、今や塾の数は100を超え、1万5千人に迫る塾生が私の経営哲学を学び、業績を向上させ、従業員の幸せを実現しようと努めていただいていることを大変うれしく思うとともに、感慨深いものがあります。
 こうして世界大会で一堂に会した塾生の皆さんに向けて、私が塾長として直接講話をさせていただく機会は、これで最後となります。この最後の大会を締めくくるにあたり、私からは「フィロソフィをいかに語るか」と題して、お話ししたいと思います。
 フィロソフィを経営者自身が実践するのみならず、全従業員と共有することの大切さについては、この盛和塾で皆さんに何度もお話ししており、多くの塾生がそのことに努めていただいていることと思います。しかしながら、一方で、「フィロソフィが社員に浸透しない」「フィロソフィに反発する社員がいる」といった声も少なからず耳にすることがあります。
 もちろん、その要因は、個々の企業によってそれぞれ異なるわけですが、根本的には、フィロソフィをなぜ従業員に説くのか、いかに説くべきかということについて、よく理解されていないことに原因があるのではないかと私は考えています。そこで、本日は経営者である皆さんが従業員とフィロソフィを共有するにあたり、大切だと私が考えていることについてお話ししていきたいと思います。
 まずは、フィロソフィとはどのようなものなのか、改めて振り返ってみたいと思います。皆さんご存じのように、私の人生哲学であり、経営哲学でもある「フィロソフィ」のはじまりは、京セラを創業する前に勤めていた松風工業時代にさかのぼります。
 劣悪な研究環境の中であっても、素晴らしい研究成果をあげていくには、どういう心構えで人生を生き、仕事にあたるべきなのか、当時の私は毎日のように必死で考えていました。そして自らに問い、悩み、苦しみながら、考えに考え抜いたことを研究ノートの端に記録していきました。
 また、京セラを創業してからは、その自分なりの人生・仕事の要諦のようなものを書きためていたノートを引っ張り出してきて、経営に携わるようになってから気づいたことを書き足していくようにしました。これが私の人生哲学・経営哲学の原型であり、それをまとめ直したものが現在の「フィロソフィ」です。
 実際に、私のメモが今も残っています。そこには、「仕事に徹し、謙虚な精神のもと、素直に物事に取り組んで、全身全霊を打ち込んでやろう」「我々は苦難を怖れない、正々堂々とやろう」「我々は人一倍やって、人並みのことができると考えよう」「人間の能力は無限であることを信じ、飽くなき努力の追求を続けよう」といった言葉が記されています。現在のフィロソフィの中核を構成する概念が、すでに明確に示されています。
 私は、こうした自らの信念というべき考え方を仕事で実践すると同時に、従業員と共有するように努めました。それは決して、「こういう考え方でみんなが働いてくれれば、会社の業績が良くなる、自分が楽になる」といった打算からではありませんでした。
 京セラの従業員にフィロソフィを説く私のベースにあったのは、何よりもみんなに幸せになってほしいという純粋な思いでした。「こういう考え方で生きていけば、充実した幸せな人生を送ることができるはずだ」と強く思っていたからこそ、より多くの人々にそのことを知らせたかったのです。
 盛和塾の中にはいらっしゃらないと思いますが、フィロソフィを会社の方針に従業員を従わせるための行動規範、あるいは従業員を精力的に働かせるためのツールだと勘違いしている経営者がいます。決してそうではありません。もし、そのような経営者個人のため、あるいは会社の業績を良くするためだけの手段としてフィロソフィをとらえて、社内で説いているとするならば、決して従業員の共感を得ることはできませんし、浸透することもありません。
 このことは自明のこととして、皆さん理解しておられると思いますが、そのような自己本位的な気持ちを完全に排除することができていない人も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
 「従業員のため」「素晴らしい人生を送ってほしい」と言っていたとしても、少しでも「会社の業績のため」「自分が楽になりたいから」といった気持ちがあれば、それは知らず知らずのうちに従業員に伝わっていきます。
 「社長は口ではフィロソフィはみんなのためだと言っているが、本当は自分のためなんだ」とすぐに見抜かれてしまいます。会社トップである皆さんが心に思っていることは、たとえ口にしなくても、必ず周囲に伝わり、強い影響を及ぼしていきます。
 あくまでも、まずは「従業員に素晴らしい人生を送ってほしい」という強い思い、限りない愛がすべての根底になければなりません。その上で、「こういう考え方を持てば、素晴らしい人生を送ることができる」という心からの信念をもって、従業員に真摯に語りかけるということでなければなりません。
 つまり、皆さん自身が自らの人生を通して、フィロソフィが持つ偉大な力を実感することが大切です。
 私自身は、若いときに多くの挫折を味わい、たくさんの苦労を経験しました。旧制中学校の受験には二度も失敗し、肺結核にもかかり、志望大学にも合格しませんでした。そして、就職試験でも希望した会社には入れず、ようやく入った会社は今にも潰れそうな会社でした。
 そのような試練とも言えるような少年時代、青年時代を送ってきたわけですが、先ほど述べたように、フィロソフィの原型となる考え方をもとに、一心不乱に目の前の仕事に邁進し、研究に没頭することで、その後の私の人生は大きく開けていきました。
 1959年に徒手空拳で創業した京セラは、初年度から黒字を計上し、その後、発展を続け、今ではファインセラミックスの特性を活かした各種部品、デバイスのみならず、通信機器や情報機器などの完成品までを提供する売上1兆6千億円規模の総合メーカーへと成長を遂げています。
 また、1984年に電気通信事業の自由化に際して立ち上げた第二電電も、新電電の中で最も不利だと言われながらもトップを走り続け、今ではKDDIとして5兆円を超える売上を誇る、日本を代表する通信事業者へと成長しています。
 さらには、2010年からおよそ3年にわたって携わった日本航空の再建も、晩節を汚すのではないかと心配されましたが、2012年には再上場を果たすなど、無事に任を果たすことができました。再生を遂げた日本航空は、その後も高収益を維持し続けています。
 それだけではありません。80年を超える人生を生きてくる中で、私は幾度も自分の想像を超えた素晴らしい出来事に遭遇してきました。それは、決して運がいい、つまり時代の潮流に乗ったからとか、ましてや自分の能力によるものではないと私は考えています。
 自分の想像を超えた素晴らしい人生を送ることができたのは、フィロソフィの持つ力によるものであると私は確信しています。つまり、より良く生きようとするピュアな考え方は素晴らしい運命を招き寄せる強大なパワーを持っているのです。
 20世紀初頭のイギリスの啓蒙思想家であるジェームズ・アレンは、次のように述べています。
 「清らかな人間ほど、目の前の目標も、人生の目的も、けがれた人間よりもはるかに容易に達成できる傾向にあります。けがれた人間が敗北を恐れて踏み込もうともしない場所にも、清らかな人間は平気で足を踏み入れ、いとも簡単に勝利を手に入れてしまうことが少なくありません」
 このようにジェームズ・アレンは述べていますが、なぜ純粋で美しい心から発したフィロソフィが偉大なパワーを発揮するのでしょうか。それは、この世界にはすべての存在を善き方向に導こうとする宇宙の意志が流れており、その流れと合致することで、物事は必ずや成長発展する方向へと進んでいくからです。
 あるいは、次のようにたとえることもできます。人生を大海原を旅する航海にたとえるならば、我々は思い通りの人生を送るために、まずは必死になって自力で船を漕ぐことが必要です。また、仲間の協力や支援してくれる人々の助けも必要ですが、それだけでは遠くにたどり着くことはできません。船の前進を助けてくれる、この世に流れる他力の風を受けることではじめて、はるか未踏の大地をめざし、船を進めることができます。
 この他力の風を受けるためには、帆をあげなければならないわけですが、宇宙の意志に反するような、邪まな心であげた帆は穴だらけで、よしんば他力の風が吹いても、船は前進する力を得ることは決してありません。それに対して、純粋で美しい心のもとにあげた帆は他力の風を力強く受け、順風満帆、大海原を航海することができます。
 私は、フィロソフィを理解し、実践することが、この世に流れる他力の風を受けるための帆を張るという行為そのものであり、自分の心を美しい心に磨いていく営みそのものではないかと考えています。
 そのようにフィロソフィの持つ素晴らしい力を理解することができるならば、おのずからフィロソフィに接する姿勢も変わってくるはずです。
 もしフィロソフィを共有することに対して従業員から反発を受けるようなことがあったとしても、次のように堂々と言うことができるはずです。
 「私は根拠もなく、皆さんにフィロソフィを強制しているのではありません。私は若い頃から、『不確実な人生だが、充実した素晴らしい人生を送っていくことは必ずできるはずだ』と思い、どうすればそれが実現できるか、ずっと考えていました。そして、考え方によって人生が変わるのではないかと思い至り、こういう考え方で人生を生きるべきではないかと自ら体得してきたことをフィロソフィとしてまとめて、皆さんに訴えてきました」
 「その結果、会社が想像を超えるまでに発展してきました。また、私自身の人生も大きく開けていきました。このことを見てもわかりますように、フィロソフィは決して間違いではなかった。結果として証明されているわけです。フィロソフィは会社の発展に貢献する哲学であるだけではなく、皆さん個々人の人生をもっと充実した素晴らしいものにしていく真理ではないかと思います」
 そのように、私は従業員に向けて話をしてきました。フィロソフィの持つ力を真に理解していればこそ、フィロソフィは従業員が人生を幸せに送るためにこそあるのだと、真正面から説くことができたわけです。ぜひ皆さんもフィロソフィを語る前提として、まずはフィロソフィにはそうした素晴らしい力があるのだということを理解し、信じていただきたいと思います。
 人間は自分が信じてもいないものを人に熱意をもって伝えることはできませんし、たとえ伝えようとしても、決して人を得心させることはできないはずです。
 信じるとは、単に知識として知っているという程度では不十分で、自らの「信念」にまで高め、実践することが必要です。このことを、東洋哲学の大家である安岡正篤さんは「知識」「見識」「胆識」という言葉で教えてくれています。
 人間は生きていくために、いろいろな知識を身につける必要があります。しかし、そのような知識を持つだけでは、実際にはほとんど役に立ちません。知識を「こうしなければならない」という信念にまで高めることで、「見識」にしていかなければなりません。
 しかし、それでもまだ不十分です。さらにその見識を何があろうが絶対に実行するという、強い決意に裏打ちされた「胆識」にまで高めることが必要です。
 フィロソフィも同じです。「論語読みの論語知らず」とよく言われますが、フィロソフィを学び、それを従業員に説こうとする経営者も、往々にして「フィロソフィ読みのフィロソフィ知らず」になってしまいがちです。
 誰しも、自分は何度も塾長からフィロソフィの話を聞いたことがあるし、本でも読んだことがある。言われれば「ああ、それなら知っている」と答える。だから、自分は知っているつもりで従業員に対してフィロソフィを説いているわけですが、実際には、自分の信念にまで高まっていませんから、伝わっていかないのです。
 フィロソフィを知っているだけでは何にもなりません。それが信念にまで高まった見識となり、さらに実践を促す胆識となってはじめて、皆さんが説く言葉が従業員一人ひとりの心に響いていくのです。
 ここまで、フィロソフィとはどのようなものか、また、フィロソフィの持つ力を信じることの大切さについてお話ししてきました。次に、経営者として、従業員に対してフィロソフィをどのように説くのか、その具体的な方法や姿勢についてお話ししていきたいと思います。


「真のコミュニケーションは修行の場」

 第一に、フィロソフィを説く経営者に求められることは、最初はまね事でも良いから、私が話したフィロソフィを自分の考え方のように、そのまま従業員に伝えていくことです。
 フィロソフィを聞いてすぐに、誰もがそれを揺るぎない信念とし、自らの血肉にし、実践していくことができるわけではありません。多くの塾生の皆さんは、盛和塾に入塾してから私のフィロソフィを勉強し、「稲盛塾長はこういうことを言っている」と聞いて、それをそのまま社内に持ち帰り、オウム返しに従業員に話をするというケースが大半だろうと思います。
 想像するに、それまでは、従業員に生き方や働き方について話をしようと思っても、どういうふうに話をすればよいのか、その方法がわからなかったのだと思います。生半可に「自分はこう思う」と言ってみたところで、それが陳腐なものであれば、従業員は誰も信用してくれませんし、むしろ逆効果になってしまいかねません。
 それに比べて、私の言葉を借りて、そのまま従業員に伝えてみると、不思議と権威がついたみたいになり、従業員もうなずいて聞いてくれるようになった。そういうケースが往々にしてあるようです。
 はじめは、そのように受け売りでも良いから、とにかく一切の疑念を持たずに、盛和塾で学んだことを鵜呑みにして、まねして話すことから始めればよいと思います。
 もちろん、その間、自分自身でも懸命に勉強していかなければなりません。たとえば、機関誌「盛和塾」のバックナンバーや私の書籍を繰り返し読んだりする。また、稲盛デジタル図書館というサービスを活用して、いつでもどこでも私の講話を視聴したりする。そのように学ぶことで、次第に私の考え方が自分のものになっていきます。そうして何年か経てば、それはもう稲盛塾長の考えではなく、社長である自分自身の考えとなっていくのです。
 そうすれば、「自分はこう思う」と話しても、考え方が間違っていませんし、人の心を揺り動かすような、感動的な言葉で話していくことができるようになるはずです。
 自分には教養がない、ましてや哲学の本、宗教の本なんて読んだことがない。学生時代もあまり勉強していなかったので、ボキャブラリーも不足している。だから、塾長の講話録から抜き出して、そのまま話をする。それでいいのです。
 皆さんだけではありません。私もかつてはそうでした。松下幸之助さんから頂戴したもの、安岡正篤さんや中村天風さんから借用したものを使わせていただきました。最初は借り物でも構いません。それを繰り返し説いているうちに、やがて自分のものとして、フィロソフィを語ることができるようになるはずです。
 第二に、フィロソフィを説く経営者に求められることは、率先垂範自ら実践に努めることです。
 いかに素晴らしい理念、フィロソフィを掲げて、社長が毎日のように説いて回ったところで、社長自身の実践が伴っていなければ、従業員は付け焼き刃だと、すぐにそれを見抜きます。
 もし、フィロソフィを一生懸命伝えているつもりなのに、自分の思いが浸透していない、逆に不信感を持たれているとすれば、その経営者の生きる姿勢が、従業員から尊敬されるレベルにまで達していないということです。
 よく一般の企業でも、社長室に社是や社訓を書いた額が掲げられています。ところが往々にして、その社長は、書いてあることと全く違ったことを平気でやっているケースがあります。それでは、いくら高邁なフィロソフィを日頃説かれても、全く共鳴することはできないはずです。
 「社長は、言っていることとやっていることが全然違う。朝礼では『みんな一生懸命に頑張ってほしい。私も皆さんの先頭に立って、皆さんの幸せのために、誰にも負けない努力をするつもりだ』と言いながら、昼からろくに仕事もせずに遊びほうけている。あんな社長だから、うちの会社はダメになってしまうんだ」
 そのように従業員から言われている社長は、決して少なくないだろうと思います。単に従業員を駆り立てるためだけにフィロソフィを説くのではなく、経営者である自分自身が誰よりも率先垂範、フィロソフィの実践に努めることが何よりも大切です。
 経営者本人が常に自らに厳しく規範を課し、人格を高めようとし続ける姿を示すならば、それを見た従業員もおのずからフィロソフィの実践に努めようとするはずです。
 「社長がそういう立派な考え方を持ち、その実践に努めているから、我々従業員は共鳴もするし尊敬もする、だから社長といっしょにフィロソフィの実践に努め、会社発展に尽くしていこう」と、従業員が自然と考えるようにしていかなければなりません。
 そのように経営者の心に一点のやましい気持ちもなく、真摯にフィロソフィの実践に努めているからこそ、時には従業員に何の遠慮をすることなく、厳しい言葉をかけることもできるようになります。
 実際に私は、いい加減な仕事をしている従業員に対しては、次のように言うことができました。
 「私はあなたも含めた全従業員を幸せにするために、朝は君たちよりも早く出てきて、開発から製造、営業まで見て、いつ寝たかわからないぐらいに必死に頑張っている。それなのに、君はそんないい加減な働きぶりでどうするのだ。仲間のためにも、自分の家族のためにも、そして自分のためにも、一生懸命働いてもらわなくては困る」。そのようによく叱ったものです。
 二代目、三代目になると、意思伝達するのに、きついことを言ったら逃げられはしないか、反発されはしないだろうかと、どうしても遠慮しがちになります。そうすると、フィロソフィを語るにしても格好よくしようと思うものですから、ますます意思伝達が難しくなります。私の場合には、そのようなことを気にすることなく、はっきりと言うべきことを言うことができました。
 それは、常日ごろから自分が誰よりもフィロソフィを実践しようと努めているという自負があったからですが、従業員のために社長が誰よりも苦労している姿ほど、共感を得るものはありません。ですから、会社の中で経営トップが一番苦労しなければなりません。そうすれば、必ず従業員はついてきてくれるものです。
 常日ごろから、誰よりも率先垂範、フィロソフィの実践に努め、尊敬されるような行動を続けているからこそ、従業員は納得して、その言葉を聞いてくれます。
 従業員も、日頃から経営者の率先垂範する姿を見ていればこそ、嘘偽りのないその言葉を信じて、フィロソフィの実践に向けて自らを鼓舞することができるはずです。
 第三に、フィロソフィを説く経営者は、従業員と本音で語り合うことに努めなければなりません。
 経営者がフィロソフィの力を信じ、率先垂範していたとして、「それはあくまできれいごとだ」として、斜に構えて見ている従業員もいます。そのように斜に構えた従業員とは、本音で語り合うことが必要です。彼らが心に思っていることを放置していれば、ますます不満をためていきますし、周囲に悪影響を及ぼし、会社内のフィロソフィ共有にとってもマイナスに作用します。
 では、具体的にどのようにして本音で語り合うことができるのでしょうか。仕事を通じて、互いに本音で語り合えるのであれば、それに越したことはありませんが、私の場合には、コンパの場を活用しました。
 意思伝達をしようと思っても、杓子定規で、かしこまって話をしたのでは、誰も聞いてくれません。聞いていたとしても、右から左に抜けてしまいます。お酒でも酌み交わしながら、人の心の琴線に触れるような話し方をしなければ聞いてくれません。だから、私は昔からコンパをコミュニケーションの最大の手段として使ってきました。
 京セラでも、まだ会社の規模が小さかったころまでは、私がコンパに出ていって、直接コミュニケーションをとっていました。その最大のイベントが忘年会でした。従業員が1000人近くになっていた頃のことでしょうか。どの職場でも忘年会を開催するわけですが、その全てに私が出席しました。12月は1日も休まずに忘年会に出席したこともあります。それぞれ、50人くらいの規模ですが、全部の忘年会に出席して、「頼むぞ」と言葉をかけ、酒をついで回りました。また、熱く夢を語ったものです。
 そうすると、不信感を持っている従業員は「はあ、そうですか」という冷たい反応で、すぐにわかります。「おまえ、何か不満があるのか」と聞いても、はじめは「いや、何でもありません」と言うだけです。しかし、さらにつつくと、腹に一物ある従業員に限って、必ず不満を言い始めます。
 聞いてみると、こちらの気配りが足りないために不満を持たせているケースもありますが、8割ぐらいは本人がひねくれていて逆恨みをしているようなケースです。ですから、「ちょっと待て。だいたい、おまえの人間性はねじれてはおらんか」とズバリ言うわけです。先ほどまでは、「まあ、頑張れよ」と言っていたのに、今度は突然、「コラッ! おまえ」と取っ捕まえて、説教を始めるわけです。そのようなことから、雨降って地固まるというように、一気に人間関係が強固になることもありました。
 相手がそういう心情を吐露したのも、一杯飲んで本音が出たからです。誰が何を思っているか、どのような不満を持っているか、あるいは、どんな悩みを抱えているか、そのような本音が出る場であればこそ、真のコミュニケーションが図れるわけです。
 一生懸命に頑張ってくれる人には、「ありがとう、さらに努力してくれ」と言うし、間違っている人には、「おまえは間違っている」とはっきり言う。また、経営者である自分自身が間違っている点を指摘されれば、「なるほどそうだ。直すようにする」と、こちらも素直に反省する。まさに修行の場です。コンパの場が、従業員にとっても、経営者にとっても、自分を鍛えていく場になるわけです。
 私がこのスタイルでやってきた中で、海外においても、本音でぶつかり合ったエピソードがあります。
 それは、かつて米国の京セラ関連会社の社長、副社長級の人たちをサンディエゴに集めて、私の経営哲学を理解してもらうために、2日間かけてセミナーを開いた時のことでした。このセミナーでは、前もって英訳した私の著書『心を高める、経営を伸ばす』を渡し、それに対する感想文を書いてもらったのですが、読んでみると、「こんな考え方は嫌だ」という内容ばかりでした。
 「この本には、『我々はお金を目的に働いてはいけません』と書いてある。我々アメリカ人はお金のために働いているのに、お金のために働いたらいけませんとはどういうことか。これは我々のアメリカンスタイルとは全く考え方が違う」と、セミナーを始める前から、私のフィロソフィは米国の幹部連中から総スカンでした。
 そこで私はフィロソフィを噛んで含めて、一生懸命に話をしました。「私は従業員の皆さんを本当に幸せにしてあげたいと思って、誠心誠意頑張っています。それを実現していくための考え方、行動指針はこういうもので、人間として立派なものでなければならない」ということを縷々(るる)説明しました。
 私が直接、丸1日かけて、魂を込めて話したところ、当初は総スカンだったみんなが納得してくれたどころか、「素晴らしい」と共感してくれるようになりました。MITのドクターコース、エール大学、ハーバード大学を出たようなエリートたちも納得してくれて、「京セラフィロソフィは素晴らしい。我々もこれからは、この考え方で仕事をしていこう」と、セミナー2日目にはみんな大賛同してくれたのです。
 問題は、その後でした。


「盛和塾の火は世界の隅々まで照らしていく」 

 生活習慣も違えば哲学、宗教、歴史、考え方も全く違う人たちを心酔させ、わかってもらい、やれやれと思ったセミナー2日目の最後です。
 「みんな、これからはフィロソフィで仕事を進めていきましょう」と言って終わろうとしたら、10年も働いている幹部が、質問があると手を挙げました。
 「昨日からお話を伺っていますと、愛とか思いやりということばかりお話しされていますが、3、4年ほど前、京都で開催された経営会議で、ある関連会社の社長が今までずっと赤字だった会社を黒字にしたと意気揚々と発表した時のことを覚えておられるでしょうか」
 「その時、けんもほろろに彼を叱っておられたように思います。今まで赤字の時も叱られ、黒字になってもけんもほろろの扱いをされたと、彼は非常に落胆していました。私も、黒字にしてもちっとも褒めない、なんと冷たい人なんだと正直思いました」
 「そのような過去の言動と、昨日からお話しされてきた愛とか思いやり、従業員の幸せのため、というお話とは、あまりに矛盾しているのではないでしょうか」
 そのように幹部社員が本音を私にぶつけてきたわけです。
 みんなが「なるほどな」とフィロソフィに納得しているところに、このようなことを言われてしまえば、それこそ2日間の話が全て台無しになります。なるほど、ドクター・イナモリは自分のことを正当化するために百万言費やしているだけなのだと、みんなの気持ちが一発で変わってしまいます。だから、私もそこで堂々と反論しなければなりません。私は、次のように答えました。
 「そうだ、確かにあなたが言う通り、私は冷たかったかもしれない。だが問題は、なぜ冷たくしたのかだ。今までずっと赤字を続けてきた会社の社長が黒字を出した。しかし、あの時の黒字は豆粒ほどの黒字でしかなかった。一方、今までの累積赤字たるや相当な額になっている。それで褒められるだろうか」
 「もし、それを私が褒めたら、彼は喜ぶかもしれない。だが、彼自身がそれでよしとなってしまったらどうだろう。『雇用を守っていく。従業員を幸せにしてあげたいと思っている』と私は言った。それには、毎年毎年十分な利益を確保し、またその拡大をはかっていかなければならない。しかし、そんなわずかな利益では従業員の賃上げどころか、雇用さえ守っていけるはずがないだろう。だからこそ、私は彼に『そんなもの利益のうちに入るものか』と厳しく言ったのだ」
 「それを聞いた彼は大変落ち込みもしたかもしれない。また、私を恨んだかもしれない。しかし、私は彼自身のこれからの人間としての成長も考えて、あえて恨まれてもいいと思って、そう言ったのだ」
 「翌年、彼は頑張って、さらに大きな利益を出してきた。そして、今では十分な利益が出るようになったので、私は今は『立派なものだ』と彼を褒めている。しかし、もしあの時、あの微々たる利益で私が褒めていたら、彼は経営者として、また人間としてそれ以上成長しなかっただろうし、今日の立派な会社にはなっていなかっただろう」
 そのように、私は本音に対して本音をぶつけたわけですが、みんなを引っ張っていくための対話というものは、このようなストレートなものでなければならないと思います。
 恐れずに従業員の中に入っていって本音で会話をしてください。その会話も、取ってつけたみたいに中に入っていけば警戒されますから、コミュニケーションがとりやすい形を工夫して考えていくことが大切です。
 私の場合には、コンパという形をとりましたが、皆さんの場合には、それぞれの会社の環境、また従業員の個々の状況をよくよく考慮した上で、最もふさわしいコミュニケーションの場をつくり、本音で対話することに努めていただきたいと思います。
 第四に、フィロソフィを説く経営者は、従業員と共に自らも学び続ける姿勢を持たなければなりません。
 いかに経営者自身がフィロソフィの力を強く信じ、日頃から率先垂範に努めたとしても、完璧には実践できないのが人間です。
 それでも、「人間としてこういう生き方をするべきだ」「経営者として、こういうリーダーになるべきだ」ということを理解して、少しでもそれに近づこうと懸命に生きている人と、そう思わずに漫然と生きている人では、人生や経営の結果は全く違ってきます。
 体得できるかできないかではなく、折に触れて反省し、体得しようと努力を続けることが大切だと、私は思っています。塾生の皆さんが社内でフィロソフィの浸透、共有に努めるにあたっても、よくよくこのことを理解した上で話をしなければなりません。
 フィロソフィを完全に実行できる人はいないのです。ですから、以前にも申し上げましたが、経営者である皆さん自身が、率直に社員に次のように言わなければなりません。
 「私は、皆さんにフィロソフィを学べと偉そうに言っていますが、それを自分自身で実行できているわけではありません。いまだかつてフィロソフィのすべてを実行できたためしがありません。その意味では、まだ一介の書生であり、門前の小僧でしかありませんので、これから一生涯をかけて、実行できるよう努力していくつもりです」
 「しかし自分ができていないからといって、フィロソフィのことを教えなくていいというものではありません。少なくとも、『こうあるべきではないか』ということだけは、私も言わなければなりません。そうすることで、社員の皆さんが成長し、会社をさらに発展させてほしいからです。また、そのことが、今後の会社を発展に導くだけでなく、皆さんの人生にも役立つはずです」
 フィロソフィを説くにあたっては、このような姿勢で話をしていくことが大切です。
 私自身も含めて、フィロソフィをすべて完璧に実行できる人はいません。自分もできていないが、何とか自分のものにしようと努力を続ける行為そのものが尊いのです。ぜひ塾生の皆さんには、フィロソフィをわかったつもりになるのではなく、従業員とともに繰り返し学び、自らの血肉と化し、経営の現場で実践していただきたいと思います。
 そのように共に繰り返しフィロソフィを学ぼうとする経営者の姿勢は、必ずや一人ひとりの従業員の心にも響き、フィロソフィの実践を促すことになるはずです。
 そして、実際にフィロソフィの実践を通じて、一人でも多くの従業員が素晴らしい人生を実現していく。その幸せをあたかも自分自身の幸せであるかのように感じることができる。それこそが経営者にとって最大の喜びであるとさえ言えるのではないでしょうか。
 極端に言えば、その従業員がたとえ自分の会社を離れることになったとしても、フィロソフィを実践して、素晴らしい人生を歩んでくれれば、それでいいのです。
 実際に、私はかつて若い社員との懇親会で、次のように言ったことがあります。「京セラにいなくてもいいんです。京セラを辞めてよそに行っても、このフィロソフィで説かれたような生き様で生きていくなら、あなたには素晴らしい人生が開けていくはずです」
 それは私が心の底から発した言葉ですが、従業員一人ひとりがフィロソフィを真摯に実践した結果として、素晴らしい人生を送ることができたならば、自分の人生を実り豊かにしてくれる場として、会社をさらに信頼してくれるようになります。そして、結果として、従業員の定着率が増すとともにモチベーションが向上し、組織が活性化して、会社は発展に向かっていくはずです。
 そのように従業員から信頼される企業、また、従業員自らが進んでその発展に尽力してくれるような企業を、ぜひ皆さんの手で築いていっていただきたいと思います。
 それは、従業員一人ひとりに対する深い愛情をもって、彼らを幸せにする、利他行そのものであり、そうした利他行に努めている塾生一人ひとりも必ずや素晴らしい経営者人生を送ることができるはずです。
 これだけ多くの経営者が従業員の幸せのために、真摯に人生哲学、経営哲学を学ぶ集団は、世界中を探しても他に類を見ない唯一無二の存在であろうかと思います。
 京都の地から始まり、全世界に広がった盛和塾という組織そのものは、本年 12月をもって幕を閉じることになります。しかし、これからもフィロソフィを学び続けると同時に、そのフィロソフィを従業員と共有し、会社を健全な発展に導くことを通じて、一人でも多くの人を幸せにしていくという皆さん経営者の使命に変わりはありません。
 むしろそれは終わりではなく、皆さんにとっては新たな始まりでもあります。今までは私が塾長として、皆さんに語りかけてきました。これからは、皆さん自身が自問自答しながら、この盛和塾での学びをさらに深め、実践していかなければなりません。
 そして、私自身がそうであったように、今度は皆さんがその実践の輪を従業員やその家族といった周囲の人たちに広げていっていただきたいと思います。この盛和塾で灯された火は、決して消えることなく、これからも皆さんの手によって受け継がれ、世界の隅々までをも照らし出していく力をもっていると信じています。
 講話の中でも触れたように、幸いにして私がこれまで盛和塾でお話ししてきたことのほとんどは、盛和塾機関誌のバックナンバーに収録されていますし、多数の書籍も市販されています。また、稲盛デジタル図書館をはじめ、講話を映像でビデオ視聴することも容易にできるようになっています。さらには、私の資料を収集・保管し、発信活動を行っていく稲盛ライブラリーという施設も整備されています。
 私は過去に、もう語り尽くしたと思うほどに、皆さんに経営の要諦をお話ししてきました。それらの記録は皆さんがいつでも学べる形で残されています。今後はぜひそうした教材を活用しながら、新たな形で学びを継続し、実践に努めていただきたいと思います。
 この盛和塾を始めて、私が最も嬉しかったことは、多くの塾生から「もし盛和塾に入塾していなければ、私の会社はつぶれていたかもしれない。学んだ経営の要諦を実践することで、経営がうまくいくようになり、会社を救うことができ、従業員を路頭に迷わせることがありませんでした」という声を聞くことでした。そのようなお話に接するたびに、私は「この盛和塾を続けてきて本当によかった」としみじみ思ったものです。
 それはとりもなおさず、世のため人のために尽くすという私の人生観の実践であり、一人でも多くの経営者が素晴らしい経営の舵取りを行うことで、その企業に関係するすべての人々をも幸せにすることができるのではないか、という純粋な思いから始めたことでした。
 思い返せば、私が今日まで盛和塾活動を続けることができたのは、ひとえに私の言葉を真摯に聞いていただいた塾生の皆さんがいてくれたからであり、どうすれば経営がうまくいくのかという問いに対する答えを渇望し続ける皆さんの純粋な思いに支えられてきたからに他なりません。
 ある意味では、皆さんのおかげで私はすばらしい人生を送ることができたように思います。私は自ら創業した京セラとKDDI、さらには再生に携わった日本航空の経営を通じて、私が直接関わった企業に集う従業員の物心両面の幸せを追求することに努めてきました。
 しかし、それにとどまらず、この盛和塾のおかげで、私は直接お目にかかれない塾生の皆さんの企業に勤めている従業員とその家族も含めて、間接的に人々を幸せにするお手伝いができたのではないかと思います。つまり、そのような大いなる利他行に努める機会を塾生の皆さんが私に与えてくれたと思うのです。そのことに対して、この場を借りて心から感謝したいと思います。
 振り返ると、私自身、本当に幸せな時間を皆さんとともに過ごさせていただきました。盛和塾の前身となる盛友塾が発足した1983年以来、今日まで36年にわたって、皆さんと日本や世界を旅し、車座になり、膝を突き合わせながら、親しく語り合ってきました。
 盛和塾が終わろうと、私の心の中に、ソウルメイトである皆さん塾生は生き続けます。同じように、皆さんの今後の経営に、私のフィロソフィが生き続けることを願い、最後の盛和塾世界大会を結ぶ言葉にさせていただきます。
 本当にありがとうございました。

おかげさまで25周年!

2015-12-01

四半世紀のご愛顧に感謝!

 

本日2015年12月1日、株式会社スリーイーホールディングスは創業25周年を迎えました。皆様の長年に渡るご厚情に心より御礼申し上げます。

これもひとえに今まで耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでついていてくれた従業員の皆さんのおかげだと思っております。

決して平坦な道ではなかったと思います。皆さん従業員の血と汗と涙の積み重ねで、こうしてスリーイーグループも晴れて25周年を迎えることができました。重ね重ね心より御礼申し上げます。

思えば木造モルタルの知り合いの家を借りて、ないものづくしでスタートしたこの会社も、こんなにも大きく成長することができました。いつ潰れるか、ヒヤヒヤしながら、誰にも負けない努力を積み重ねてきたあの頃をとても懐かしく思い出します。

そして今、私たちは新たなステージに突入しました。すでに多くの人に支持をいただき世の中に認められた既存事業のみならず、私たちは新規事業をいくつもスタートし、さらにグローバル企業へと変貌していきます。

ぜひ、また次の四半世紀後、信じられぬほどの変革を遂げ、世界企業へと発展したスリーイーグループで、また再び多くの従業員の方々と共にこの喜びを分かち合いたいと思います。

今後共、引き続きよろしくお願いします。

ファウンダー 兼 代表取締役CEO 北中 彰

社名変更のお知らせ

2015-10-01

このたび弊社株式会社スリーイーコーポレーションは、平成27年10月1日より、株式会社スリーイーホールディングスに社名を変更させていただく運びとなりました。国内外の関連会社を束ねる持株会社として、今後株式会社スリーイーホールディングスはさらにグローバル化を加速し、社会貢献度の高い新事業を次々と展開してまいります。

これを機に更なる社業の発展を図り、引き続き皆様のご愛顧を得られますよう、専心努力いたす所存でございます。
今後とも倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 

株式会社スリーイーホールディングス
 代表取締役CEO 北中 彰
                              

※ホームページアドレス、メールアドレス、電話番号、住所等に変更はございません。ホームページは10月1日よりリニューアルいたしました。

スリーイーグループ・ビジネスプラン発表会を開催

2014-09-28

9月27日、秋葉原UDXで2015年9月期スリーイーグループ・ビジネスプラン発表会を開催しました。

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日本全国、そして海外から従業員が一堂に会して未来のビジョンを共有しました。

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スリーイーグループは、今後スリーイーコーポレーションをホールディングカンパニー(持ち株会社)とし、既存事業基盤と新規事業のシナジー(相乗効果)のあるM&A戦略やゼロから生み出す新規事業創出を通して成長していきます。

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日本国内における成長のみならず、ミャンマー、その他のアジア (香港/中国, 東南アジア各国)への進出・拡張を通して大きなビジョンを実現していきます。

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スリーイーグループのこれからの戦略と方向性に従業員のみんなも共感してくれたと思います。

CSO(チーフセールスオフィサー)の住谷さんも熱弁を奮ってくれました。

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海外戦略は、J&KグローバルよりCEOのブライアンとCOOの大澤さん、そしてGMのコチョーミントンが参加してくれ、英語から日本語への通訳をしながら発表してくれました。

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パワポが英語だったのでちょっとわかりにくかったかな?

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今回は特に若いメンバーが立派な発表をしてくれて、とても将来が楽しみです。

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一年間の優秀者の表彰も行いました。

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これからも、仲間のみんなにはイキイキと頑張って欲しい。

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成長のキーワードは 「4Values(4つの価値創造)」

1.Differentiation(差別化)

2.Speed(スピード)

3.Fun(楽しく)

4.Sharing(共有)

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懇親会のあとには全員で写真撮影。

翌日の私の誕生日も祝っていただきました!

 

これから1年間、次々に新しい価値創造をしていきたいと思います。 
 

経営の原点12ヶ条 「盛和塾第21回世界大会 塾長講話」より

2013-07-21

 去る7月17日と18日の2日間に渡り、盛和塾第21回世界大会がパシフィコ横浜で開催されました。

 発足から30周年に当たる今回、世界各地から過去最高の68塾、4345名の来場により盛大に開催されました。

 塾長著書「生き方」は、今や世界中で300万部以上を売り上げる不朽の名作となりつつあります。

 暴走する資本主義社会において、今や稲盛哲学は世界の規範となりつつある感があります。

 稲盛塾長は京セラとKDDIをゼロから創業し、大きく成長発展させました。その売上は合計で5兆円以上に達します。

 そしてこの度のJAL再建の成功です。誰もが無理だと言ったJALの再建は、奇跡の再建と称され、今やJALは航空運輸業界で世界一の収益を誇っております。

 さて、今回は盛和塾世界大会の最後を飾る塾長講話の速記録をお届けします。

 今回のテーマーは「経営の原点12ヶ条」。私自身盛和塾東京において、活学講座「経営の原点12ヶ条勉強会」のリーダーを4年間に渡り務めていることもあり、今回の講話は大変感動的なものでした。

 何分にも、当日講話を聞きながらパソコンに入力した速記録ですので省略箇所も多数ございますが、特に経営者の皆様には、経営を伸ばすためにとても参考になると思いますので、ここにご紹介いたします。

 

「盛和塾第21回世界大会塾長講話」〜経営の原点12ヶ条〜


 ■はじめに


 経営の原点12ヶ条を日々実践すれば皆さんの経営は格段の進歩をする。

 今日は5条から12条までお話をしようと思う。昨年の忘年塾長例会で1条から4条までお話した。

 (盛和塾機関紙118号にその内容の記述がありますのでご参照ください)

 12ヶ条は短く平易な言葉だが、京セラとKDDIの成長発展、そしてJALの再建においても素晴らしい力を発揮した。

 日本航空に対する最初の意識改革の活動が経営幹部に対する12ヶ条の講話だった。日本航空が官僚的意識を拭い去り、高収益企業にふさわしい考え方を身につけた。そして最高益企業に生まれ変わった。

 今も日本航空では12ヶ条を勉強し続けている。今のリーダー研修会のテーマも12ヶ条だ。5月の勉強会でも植木社長が1条を解説された。今後も1条ずつ役員がコメントする勉強会をする。私が日本航空を去ったあとでも勉強を続けている。

 12ヶ条は多くの人が力を認める実践的な経営の要諦だ。ぜひその力を知り、理解し、実践していただきたい。

 

 ■5.売上を最大限に、経費は最小限に

 〜入るを量って出ずるを制する。利益を追うのではない。利益はあとからついてくる。


 京セラ創業時、私は経営について何も知らなかった。

 だったら「売上最大、経費最小にすればいいんですね」と経営を始めた。

 シンプルな原則だが、これをただひたすらに貫くことで京セラは高収益企業になることができた。


 売上が増えれば経費も増えるという誤った常識がある。

 売上最大・経費最小の創意工夫を徹底的に進めていくべきだ。 もし5割増しの売上になったとしたら、5割増しの経費と人員にしてしまいがちだ。だが、もし5割増しの受注なら2割〜3割の人員増ですませるのだ。

 そうすれば高収益の企業体質ができるのだ。

 売上増加は高収益企業になる千載一遇のチャンス。

 しかし殆どの企業が経費も増加させてそのチャンスを逃してしまう。

 もし、経費だけ増やせば、売上が落ちた時たちまち赤字経営に転落する。 そういうことが往々にして起こる。 そして、組織ごとに収益が明確にわかるシステムが必要だ。

 そういう仕組を構築することが経営者の義務。

 創意工夫と努力があれば企業は成長していく。

 組織が拡大すると実態がわからなくなり、成長が止まる。

 成長しても精緻で全員が参加できる管理会計システムが必要。

 

 京セラは創業間もないころから、アメーバ経営に取り組んで来た。

 アメーバ経営者一般の財務会計とは異なる。

 アメーバといわれる小集団があり、そのリーダーがあたかも中小企業の経営者のように経営している。

 アメーバ経営では、時間当り採算という独自の計算方法でやっている。

 このような仕組みを時間当り採算制度と呼んでいる。

 月末に締めるとと月初には採算表が出てくる。

 どの部門が収益を上げているか一目瞭然にわかる。

 アメーバ経営では経費が現場に即した実践的な経費科目になっている。

 光熱費も水道代、ガス代、電気代というように、現場が理解できて、経費削減の考動が具体的に起こせるものでなければならないからだ。

 明確に経費の増減が理解でき、現場で必要な改善策が打てるようにするためである。


 日本航空でもこの制度が使われた。

 それは、私が日本航空に着任してすぐの頃の体験からだ。

 今の数字は?と聞くと、数カ月前のデータしか出なかった。

 誰が収益責任を負っているのか明確ではなかった。

 路線別、路便別の採算もわからなかった。

 そのため赤字を垂れ流し続けた路線が数多くあった。

 そのため私は路線、路便ごとにリアルタイムに採算がわかるシステムが必要と考えた。

 だから、450社以上で導入実績のあるアメーバ経営を採用した。

 それぞれの責任者が中心となって、収益性を高めるために創意工夫ができるように、KCMCの幹部とともに必死になって構築に取り組んだ。

 部門別の実績が翌月には出るようになり、それぞれの社員が懸命に再三改善に取り組んでくれるようになった。

 路便ごとに機材の変更などが臨機応変にできるようになった。

 経費の明細を全員で共有し、周知を集めて全員で経営改善に取り組めるようになった。

 そして、部門ごとの数字をもとに各リーダーに集まってもらい、業績報告会を開催した。

 この業績報告会では膨大な資料の中で、私が疑問に思うものがあれば、徹底して追求していった。

 そのような会議を続けるうちに、数字で経営することが当たり前になった。

 そして、それぞれの部門長がどのように経営していくのか、業績報告会で発表できるようになった。 2011年の4月からこの管理会計システムを導入し、今は全員で採算意識を高めている。


 日本では中小企業とできものは大きくなれば潰れると揶揄される。

 経営の実態が見えないまま大きくなるのは良くない。

 必要な経営改善が打てなくなり業績が伸びなくなる。

 京セラは近年の一時期を除き、ほとんど二桁の利益を上げてきた。

 このような高収益の企業体質が維持できたのは、独創的技術、付加価値のある製品があるという理由だけではない。

 経営の実態がよく見える管理会計システムを構築し、全社員を上げて売上最大経費最小をやってきたからだ。

 

  ■6.値決めは経営

 〜値決めはトップの仕事、お客様も喜び自分も儲かるポイントは一点である


 私はかつて京セラの役員を登用するとき、商いの原点がわかっていなければならないとして、夜泣きうどんの経営を考えたことがある。

 彼らに夜泣きうどんを経営させてみて、どれだけ資金が戻ってくるか、彼らにやらせてみようと考えたからだ。 うどん一杯といっても千差万別。

 営する人によって全く違う原価構成になる。

 また、出店立地も人によって違う。

 経営者の才覚が表れる。 

 そして値決めがある。

 学生街で夜泣きうどんをやる場合は、売値を抑えて数を出そうとするだろう。

 繁華街では高級感を出して数が少なくても利益が出るようにするだろう。

 値決め一つで経営の才覚があるかどうかがわかる。 そのため役員登用の登竜門としたいと考えた。


 経営の死命を制するのは値決めだ。

 製品の値決めにあたっては様々な考えがある。

 利幅を少なくして大量に売るのか、価格設定は無断階にある。

 まさに経営者の思想の反映である。

 価格を決めた時にどれだけ売れるのか、どれだけ利益が出るのかを予想するのは大変難しい。

 値決め一つで大きな損失が出る。

 製品の価値を正確に判断した上で、製品一個あたりの価値と販売数量の積が極大値になるようにしなければならない。

 お客様が求める最高の値段。その一点を見分ける。

 この一点を見分けるのは経営トップでなければならない。 これは値決めにあたって大切なことである。 お客様の求める最高の値段。

 価格が決まったら、その決まった価格でどのように利益を出していくかが大切。 営業マンがただ単にお客の言われるままに安い値段で出してきたら利益は出ない。


 しかし決まった価格で利益が出せるかは製造側の責任である。

 日本の企業のほとんどが原価主義である。

 しかし、競争が激しい市場では先に売値が決まってしまう。

 原価に利益を積み上げた価格では売れない。

 私は、新しい製品や技術を開発するだけが技術屋の仕事ではなく、どのようなコストで開発するかを考えることが重要だと言ってきた。

 熟慮を重ねて決められた価格の中で最大の利益を生み出す。

 固定概念は一切捨て去る。

 製品を最も低いコストで製造することを徹底して行う。

 値決めと仕入れ、製造のコストダウンが連動していなければならない。

 値決めだけが独立してあるのではない。仕入れとコストダウンにも責任をもたねばならない。

 だから値決めはトップがやるのだ。

 値決めをするときに、製造のコストダウンも考えていなければならない。


 素晴らしい経営を目指す方はよく考えていただきたい。

 値決めは経営者の人格が表れる。

 気の弱い経営者なら、安い値段で売ってしまう。

 高くすると売れないからだ。

 価格を決めるというのは今の値段で売ってもどうして利益が出るのかを考えるのだ。


 ■7.経営は強い意志で決まる

 〜経営には岩をも穿つ強い意志が必要


 経営とは経営者の意志の現れ。

 こくありたいと思えば何が何でもそれを実現する強烈な意志が必要。

 だが、目標を達成しなければ簡単に目標を修正してしまう人がいる。

 そのような態度は、従業員にも大きな影響を与えてしまう。

 それを痛切に感じたのが京セラが株式を上場した時だ。

 上場企業は業績予想を発表しなければならない。

 日本企業は簡単に業績予想を修正する。

 しかし、目標を見事に達成する経営者もいる。

 目標をあくまでも達成する経営者でなければ、現在のような激しい経済状況変化に耐えられないと思う。


 こうしたいと決めたのなら、経営者は強い意志でやり抜かなければならない。

 その時に必要なのは従業員の共感だ。

 目標が従業員が全員がやろうと思うものかどうかが大切だ。

 経営者の意志を全従業員の意志に変えるのが必要。

 高い経営目標をボトムアップで従業員から上がってきたようにする。

 方法は難しくはない。

 うちの会社は素晴らしい可能性があり、将来は大きく発展するというベースを作る。

 コンパで来年は倍にしようと言う。 そういう時に、おっちょこちょいで調子の良い社員に、やりましょうと言わせる。

 頭の良い社員に言うと、できない理由を並び立てる。

 つまり経営も心理学だ。

 絶対に目標は高く設定しチャレンジしていくことが大切。

 あまりにも高い目標を立てて何年も達成しなければ誰もが真剣に受け止めなくなる。

 しかし、前年にわずかに乗せただけの経営目標では会社はダイナミズムがなくなる。


 私は京セラが小さかった頃に、達成したら全員で香港旅行をしよう。しかしもし達成しなかったら全員で禅寺に行こうと宣言した。

 そうしたら見事達成して、全社員で香港旅行となった。

 このように単に目標を達成せよと言うのではなく、従業員の気持ちをリフレッシュし、モチベートする工夫が必要だ。

 最も大切なのは手練手管ではなく、何としても達成したい気持ちを従業員に率直に訴えかけるべきだ。

 かつて私はすべての部門の忘年会に出席したことがある。

 目標と達成の意志について理解を得たいと思ったからである。

 日本航空でも同様だった。

 毎日ホテル住まいで、朝から晩まで続く会議で細かな数字を追っていった。

 そうした私の懸命な姿を見て、日本航空の従業員は私の達成への意志を感じたはずである。

 経営者の意志で現れである経営目標を従業員と共有することが最も大切。

 そして、それができれば企業は必ずや発展する。


 ■8.燃える闘魂

 〜経営にはいかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要


 実は先般、毎日新聞主催で講演をした。

 低迷する日本経済を再生するには燃える闘魂が必要だという話をした。

 大変感銘を受けたということで、本を作ってくれと言われた。

 というわけで「燃える闘魂」という本が近いうちに出版される。


 昨年の盛和塾世界大会でも話したが、経営おいても格闘技で必要とされる闘魂が必要だ。

 人が良すぎて喧嘩もしたことがない人は、闘争心のある人に社長の座を譲るべきだ。

 たとえ小さな企業でも、従業員を守るために凄まじい闘志で企業間競争に臨まなければならない。

 厳しい市場競争に負けそうになった京セラの社員には、かつて後ろから機関銃で撃ってやるといったものだ。

 経営においては、いくら企業間競争に打ち勝っても、円高、国際紛争、自然災害とあらゆる変動要素が発生する。

 安易にそれらを口実にしてはならない。

 こんにちに至るまでの京セラの道のりは平坦ではなかった。

 円の変動相場制。

 ニクソンショック。

 日米貿易摩擦。

 プラザ合意。

 長期に渡る経済低迷。

 サブプライム危機。

 次から次へと巨大な景気変動の波に襲われ、多くの企業が衰退していった。

 しかし京セラは違った。

 それは絶対に負けるものかという強い思い。燃える闘魂があったからだ。

 いかなる景気変動にも負けず、成長発展を目指してきたからだ。


 燃える闘魂には、優しい闘魂という意味もある。

 幼い鳥が襲われそうになったときに、親鳥は身を呈して守ろうとする。

 凄まじい闘魂と勇気だ。

 経営者として責任を果たすならば、そのような闘魂も必要だ。

 一度経営者となった瞬間に多くの従業員を守るために敢然と立ち向かう。

 また、なぜそのようなことができるのか。

 それは自分の従業員を何としても守らなければならないという経営者の責任感だ。

 責任感があれば、強い意志が備わる。

 今の日本では、自らの保身に走る経営者が多くなっている。

 自分で責任を取らず、部下が辞めていく。 日本ではアベノミクスにより、景気に楽観的に考えている人がいる。

 しかし、つい先日まで日本経済は6重苦に悩まされて悲観していたはずである。

 景気や経済変動に一喜一憂すべきではない。

 燃える闘魂で、誰にも負けない努力を行い、創意工夫を重ねるのだ。


 ■9.勇気をもって事に当たる

 〜卑怯な振舞いがあってはならない


 物事を判断するときには勇気が必要。

 人間として何が正しいかという原理原則に従い判断すれば誤りはない。

 多くの経営者が原理原則で判断しなければならないときに、様々なしがらみが生じ、判断を誤ることがある。

 政治家の横ヤリ、社内不祥事などの場面で、人間として何が正しいかという原理原則で判断せず、波風を立てないという基準で判断する時がある。

 断固たる判断。それが経営者の真の勇気。

 原理原則に基づいた正しい判断には勇気が必要。

 経営者に勇気がなく、怖がりで逡巡しているさまは従業員に伝染する。 たちまち信頼を失う。 経営者のふがいない姿は企業内に野火のごとく蔓延する。


 経営者に必要な勇気は胆力とも言える。

 知識・見識・胆識。 知識は様々な情報を理性のレベルで知っているということ。

 単なる知識はものしりだということ。

 知識を見識にまで高める必要がある。

 知識が信念にまだ高まった時に見識になる。

 社長は見識、つまり信念を伴った知識でなければ正しい判断はできない。

 しかし、見識に勇気が備わった時に胆識と呼べるようになる。

 何も恐れない。

 胆識が経営者に備わって初めて、いかなる状況でも正しい方向に経営の舵をとれる。

 真の勇気が経営者がもっているか。

 ぜひ胆識、魂の奥底からの勇気を持って正しい判断をしていただきたい。


 ■10.常に創造的な仕事を行う

 〜今日より明日、明日より明後日と常に改良・改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。


 米国を代表するジャーナリスト、デイビット・ハルバースタムが著書「ネクストセンチュリー」で私のことを書いた。

 「次にやりたいことは、わたしたちには決してできないと人から言われたものだ」

 (What We like to do next is what people tell us we can never do)


 京セラはファインセラミックスという新しいものに取り組んだ。

 そして何兆円という規模の産業にした。

 つまり、ファインセラミックスの素晴らしい特性を生かして、ICパーッケージをつくったのだ。人工骨なども。

  このような独創的な企業経営ができた理由は京セラの技術開発力だけではない。

 技術がないから発展しないと嘆いてはいけない。

 他社に傑出した技術を持っている中小企業などない。

 今日より明日、明日よりあさってと常に改良・改善を絶え間なく続けるかどうかで、独創的な経営ができるかどうかが決まる。

 たとえば掃除。(略)

 東京駅で新幹線の掃除をする会社が注目されている。

 従業員参加型で創意工夫をして、モチベーションアップをしている会社がある。

 もし私が掃除会社を任されたら、誰にも負けない努力を創意工夫を重ねながら展開し、日本一、世界一の掃除会社にする。


 一日の差はわずかだが、1年もすると大きな変化になる。

 世の中の大発明もそのような地道な努力、創意工夫で生まれている。

 常に創造的な仕事をすることを業務方針とするのだ。

 そして経営者が率先垂範するのだ。

 京セラも太陽電池、複写機など広範囲に展開している。 最初はファインセラミックスしかなかった。

 独創的な経営が最初からできるわけではない。

 日々改良改善を求め、創意工夫を続けるかが鍵だ。

 そして未来進行形で考えることが必要。

 「できない」ことを「できる」に変えるのだ。

 現在の力で考えるのではなく、未来のある一点で達成することを決めてしまうのだ。

 いまはできないものを何としてもやり遂げたいという強い思いでしか創造的企業は生まれない。

 

 ■11.思いやりの心で誠実に

 〜商いには相手がある。相手を含めてハッピーであること。皆が喜ぶこと。


 思いやりは利他の心だ。

 自己犠牲を払っても相手に尽くそう。

 しかし思いやりや利他など、ビジネスの世界では実現は難しいと考える人が入る。

 しかし思いやりの心が最も大切。 情けは人のためならず。


 京セラが米国AVX社を買収したときのこと。(略)

 米国での企業買収に日本企業が成功した例はほとんどない。

 利害得失だけを考えるか、本当に相手のことと思いやるか。

 利他の心は一見損をしても、長い目で見ても素晴らしい効果がある。


 ■12.常に明るく前向きで、夢と希望を抱いて素直な心で経営する


 経営者はたとえどんな逆境があろうとも、常い明るく前向きでなければならない。

 苦しい局面でも夢と希望を失ってはならない。

 経営の諸問題に押しつぶされそうになった時、悲壮感がただよう。

 悲壮なまでに思いつめて悩みぬいて経営しなければならないのか。


 経営には凄まじい闘魂、くじけない意志力が必要。

 だからこそ、普段から明るく振舞わなければならない。

 なんとしてもやらなければならないという強い思い。

 何があっても自分の将来は輝かしい未来があると、楽観的生き方をしてほしい。

 自分の人生をポジティブに見る。

 これは生きる要諦、経営の要諦だ。

 努力をすればなんとかなると信じて、更に努力をする。

 無理矢理でも自分にそう思わせて努力を重ねる。

 そういう明るさは必ず報われる。

 それは自然がそのように作られているから。

 宇宙の意志。

 美しい心、思いやりに満ち、謙虚で感謝を忘れず、素直な心で努力を重ねる。

 善き心をもって善き行いをすれば必ずよい成果が現れる。

 日本航空でもそうだ。

 日本航空の奇跡の再建においては、我々の想像を超えた偉大な力が働いたと言わざるをえない。


 1つの自力と2つの他力を使うのだ。

 1つの自力とは、経営12ヶ条を通じて経営者の力を最大限に発揮することだ。

 2つの他力とは、1つ目は従業員の力を使うことだ。

 2つ目は、この世に存在する偉大な力(サムシンググレート・宇宙の意志)の助けを使うことだ。


 ■まとめ


 本日は、経営者が何を思い、何をすべきかを話した。

 まずは今日お話したことを懸命に努めていただく。

 あとは従業員の力と、偉大なる天の力(サムシンググレート・宇宙の意志)を使う。 そうすればみなさんの企業は必ず進歩発展する。


 盛和塾は盛友塾から30年という節目。

 盛友塾の時、京セラの売上は2500億円。今では1兆3000億円。

 第二電電も設立し、その後KDDIとなり今では売上は4兆円を超える。

 日本航空は世界最高の利益を上げる立派な航空会社になった。

 盛和塾は8000名の塾生。

 稲盛財団は京都賞で世界有数の顕彰事業を行う。

 このような想像を超えた大きな成長と発展は、私が特別なことをしたわけではない。

 そんな私の経営のエッセンスが経営12ヶ条だ。

 経営12ヶ条の実践が今日をつくった。

 そして天の目に見えない助力をいただいた。

 12ヶ条を通じて素晴らしい経営をして、盛和塾生が多くの社員の物心両面の幸福を実現することを祈念する。

 

 ※経営の原点12ヶ条はこちらをご参照ください。

  http://www.3egroup.jp/category/1579110.html

誰にも負けない努力をする

2013-07-15

 私の座右の銘は「誰にも負けない努力」です。

 今回は、なぜ私が「誰にも負けない努力」を座右の銘とするのかを書きます。

 ◇「誰にも負けない努力」は経営を伸ばすために最も大切なこと。


 「誰にも負けない努力」は、スリーイーフィロソフィの「三大方針」のひとつでもあり、また「フィロソフィの根幹」12項目のひとつでもあります。

 また「誰にも負けない努力」は、盛和塾稲盛塾長(京セラ・KDDI創業者、日本航空名誉会長)の「経営の原点12ヶ条」の第四条にもありますし、「六つの精進」では一番目の項目です。

 稲盛塾長は「誰にも負けない努力」を「我々が生きる上で一番大切なこと」としています。また「誰にも負けない努力」について、このようにもおっしゃっています。

 「言葉をかえれば『毎日一生懸命働く』」ことが経営で最も大事」

 「このことを除いては、経営の成功も人生の成功もありえない」

 「一生懸命に働くこと以外に成功する道はない」

 「京セラ成功の理由の第一番目も、第二番目にも、第三番目も『誰にも負けない努力』をしたこと以外にはない」

 これほどまでに「誰にも負けない努力」は、経営を伸ばすための絶対的な条件なのです。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、誰もついて来ない。


 私は、経営者こそが「誰にも負けない努力」をしなければならないと思っています。

 経営者にとって、会社は自分のものです。特に中小企業においては、経営者は銀行に個人保証をさせられていますので、会社が倒産すれば経営者個人も再起不能に陥ります。

 まさに一心同体。経営者と会社は運命を共にしているのです。

 しかし、従業員にとってはどうでしょうか。

 会社が成長しても、自分が得をするわけでもないし、関係ないことだ思う人もいることでしょう。

 いくら頑張っても会社と経営者が儲かるだけだから、給料以上に働くと損をすると考える人もいることでしょう。

 会社が倒産しても、他に就職すればいいわけだし、会社が危機だとしても経営者がなんとかするべきであって、従業員には何の責任も義務もないと考える人も多いことでしょう。

 では、どのようにすれば経営者は従業員の力を最大限に発揮させることができるのでしょうか。

 それは、従業員の心をつかむしかありません。そして従業員の心をつかむためには、少なくとも経営者自身が「誰にも負けない努力」をしなければ、誰もついて来ないでしょう。

  経営者自身がすさまじい努力を重ね、全身全霊を込めて経営に打ち込んで初めて、従業員の心が揺さぶられるのだと私は思います。

 だからこそ、私は自分自身に「誰にも負けない努力」を課さなければならないと思っています。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、熾烈な競争に勝つことはできない。


 「現状維持は退歩の始まり」です。

 少子高齢化が進む日本。産業の競争力は弱まり、往時の勢いはどこへ行ったのでしょうか。

 しかし、この日本という成熟化社会の中で、優秀な企業や人が皆、必死に業績を伸ばそうとしているのです。

 そんな中で、ちっぽけな中小企業が現状維持しか考えていないようでは、周囲の競争が激烈ですので、やがては競争に負けてしまいます。

 中小企業が「このままでいいや」と努力を放棄し、守りに入っていると、堕落し没落するのは必至です。

 優秀な競争相手が皆努力をしているのですから、私たち自身が「誰にも負けない努力」をしなければ、到底熾烈な競争に勝つことはできません。

 人並みの努力では、決して厳しい競争に打ち勝つことはできないのです。

 ですから、私たちは次から次へと新しいことにチャレンジし、「誰にも負けない努力」で進歩・発展を目指さなければなりません。

 大きく高い目標を立て、「誰にも負けない努力」で迫り来る困難を乗り越え、大きく高い目標を成し遂げていくことでしか、私たちの未来を拓く方法はないと思います。


 ◇「誰にも負けない努力」をしなければ、能力不足を克服することことはできない。


 私は、大した能力のない自分にできることは、「誰にも負けない努力」をすることだけだと考えています。

 世の中には賢い人がたくさんいます。厳しい競争社会において、若い頃から人並み以上の努力を重ねてきた人がたくさんいます。

 ですから、私を含めて大した能力のない人、大した努力をしてこなかった人に到底勝ち目はありません。

 能力不足を補う方法はただひとつです。

 「誰にも負けない努力」で、能力不足・過去の努力不足を克服するしかないと私は思います。


 ◇「誰にも負けない努力」は人としての正しい生き方。


 「怠惰に過ごすこと」と「努力をすること」のどちらが人として正しい道でしょうか?

 答えは明白です。

 「誰にも負けない努力」は、人としての正しい生き方なのです。


 ◇「誰にも負けない努力」により、魂が磨かれ、素晴らしい人間に成長できる。


 「誰にも負けない努力」は、人間性を磨くことにつながります。

 朝早くから夜遅くまで一生懸命に働けば、暇がありません。

 「小人閑居して不善をなす」といいますが、人間は暇があればろくなことを考えないし、ろくなことをしません。

 ですから、忙しければ余計なことを考えなくても済みます。余計なことをしでかして失敗することも防ぐことができます。

 つまり「誰にも負けない努力」は、雑念妄念を取り去り、心を磨き、素晴らしい人間性、人格を形成することにつながるのです。


 ◇「誰にも負けない努力」とは生易しいものではない。

 「一生懸命仕事をしてますか?」と聞くと、ほとんどの人が「一生懸命やっています」と答えます。

 しかし「誰にも負けない努力」とは、そのような生易しいものではありません。

 単に「頑張っています」「一生懸命やってます」ではダメなのです。ほどほどの努力では到底「誰にも負けない努力」をしているとは言えません。

 「誰にも負けない努力」とは、誰もができるような、簡単なものではありません。「凄まじい努力をすること」「毎日、これ以上やったらぶっ倒れるほど努力すること」を意味しています。

 もし知的活動であるならば、「考えて考えて考え抜く」「寝ても覚めても考える」「四六時中考え抜く」ことを意味しているのです。


 ◇「誰にも負けない努力」をして初めて運が巡ってくる。


 経営の原点12ヶ条の「誰にも負けない努力」の副題には、「地道な仕事を一歩一歩、成功に近道なし。堅実に弛まぬ努力を」とあります。

 どんな偉大なことも地味な努力の積み重ねです。どんな地味な仕事でも、続けさえすればあっと驚くような偉大な仕事に成長発展します。

 何事も一足飛びには成し遂げることはできません。一攫千金を狙うような仕事のしかたでは、決して成功することはありません。

 どんな注文でも一個一個歩いてとっていかなければならないのです。

 しかし現実はなかなかそれができない。

 目標は大きい。「こんなことで大きな目標が達成できるのか」とどうしても思ってしまうのです。しかし、どんな偉大なことでも地味な努力の積み重ねです。

 いっぺんに売上が上がらないか、もっと簡便な方法がないかと考えるところから間違いが始まるのです。

 どんな巨大などんな目標であろうと、賽の河原の石を積み上げるような、気の遠くなるような努力の積み重ねなのです。

 誰にも負けない努力をしていれば、いつの日か神様が「あの会社の従業員はあれほどの努力をしているのだから助けてあげよう」と思ってくれるのです。

 逆にいうと、神様が助けたいと思うほどの努力をしなければ、我々の行く手に成功はありません。

 どんな偉大な仕事でも、些細な、地道な仕事の一歩一歩の積み上げです。

 地味な努力の積み重ねが偉大な成功を生むことを信じ、日々努力を積み重ねることが大切なのです。

 私北中は、JAL奇跡の再建を成し遂げた稲盛和夫氏(京セラ・KDDI創業者)が主催する「盛和塾」に参加しております。
 その盛和塾では、世界大会を含めて年間14名の経営体験発表があります。
 今回、盛和塾経営体験発表者の関東ブロック選考会が3月2日土曜日に御茶ノ水で開催され、参加してまいりました。

 盛和塾の経営体験発表とは、フィロソフィ(稲盛塾長の経営哲学)を実践し、結果を出している経営者が多くの塾生の前でその経過と成果を発表するというものです。 今回は、今年の盛和塾の例会や世界大会で経営体験発表ができる14名を選出するための関東予選という位置づけでした。

 今回は、関東地区の精鋭9名の経営体験発表を聞いて感じたことを記したいと思います。

 

 ◆従業員の幸せが経営の最大の目的意義であること

 経営の目的は、売上の拡大ではない。利益の拡大でもない。ましては経営者の個人的満足の追求でもない。もちろん、経営者の個人的利益の追求でもない。 経営の第一の目的・意義は、従業員の幸せの追求である。

  今回の9名の経営体験発表を通じて、そのことを改めて認識しました。
 命を賭して従業員を守る。これをどの経営者も必死でやっていました。従業員の幸せが何よりも最優先なのだ。それ以上のものは何もないのだ。そのように思いました。
 会社を大きくすることが経営の目的になってしまってはならない。それは従業員の幸せを追求した結果、結果としてできることなのだ。そのように腹に落ちました。

 これからは、従業員の幸せが経営の第一の目的意義であることを確認する「戦略的フォーカス」を毎日朝礼で唱和したいと思います。

 

 ◆人として正しい道を歩めば、必ず天が味方をすること 

 人として何が正しいか。人間としてのあるべき姿、生きる道とは何か。それがフィロソフィです。
 そして、フィロソフィを徹底して実践すれば、つまり、人として正しい道を歩めば、必ず天が味方をしてくれるのです。
 経営もそうです。人として正しい道を歩んで経営すれば、それがたとえ遠回りになったとしても、最終的には必ず天が味方をしてくれる。売上が拡大し、事業が進歩発展する。
 9名の経営体験発表を通じて、忘れかけていた大切なことを再認識しました。

 

 ◆「従業員を惚れさせんかよ」

 稲盛塾長の言葉に「30人や40人の社員なら、全員を惚れさせんかよ」という言葉があります。 経営者たるもの、特にそれが中小企業なら、全従業員が自分に惚れ込んで「社長のためならどんな努力でもします」「社長にとことんついていきます」というくらいにしなければならない、というものです。

 9名の経営体験発表者は、皆必死に経営していました。従業員の心をひとつにするために、自分を犠牲にし全力で従業員の幸せの実現のために取り組んでいました。そして、従業員に常に感謝の心で接していました。
 「俺について来い。幸せにしてやる」そんな言葉で従業員の人生を預かっていました。
 結果、従業員が社長に惚れ込んでいました。

 スリーイーグループをここまで繁栄させてくれた従業員の皆さんに対し、私はもっと感謝しなければならないと思いました。 そしてもっと心を磨き、魂を磨いて、皆が心からついてきてくれる魅力的な経営者に変わっていこうと思います。

 

 ◆経営は実行力が重要であること

 今回の9名の経営体験発表者の中から最終的に選ばれた3名は、共に実行力が卓越していました。 強烈な意志と、魅力的な言葉で従業員の心をひとつにして、向かうべき道にまっしぐら。そのように感じました。

 これが正しいと信じたら、脇目もふらず猪突猛進する。その迫力。人を惹きつけ、引き込み、味方にするエネルギーが必要だと改めて感じました。

 

 ◆大善の心。フィロソフィを社内に浸透させる努力を怠ってはならないこと

 「毎日フィロソフィの読み合わせもしているし、もうこんなものでいいのではないか?」
 そのように感じて、フィロソフィの浸透を私は怠っていました。
 「みんな忙しいし、勉強会ばかりでは迷惑ではないか?」
 そのようにも私は感じて、手を緩めていました。勉強会の回数を減らしていました。

 しかし、それは間違っていました。
 大善の心が必要なのです。表面的には嫌がっていても、また厳しすぎるように思われることでも、大善の心で従業員のためにフィロソフィを浸透させなければならないのです。
 そうすることが、結果的に従業員の幸せにつながるのです。

 ですから決意しました。もう一度フィロソフィを社内に浸透させる努力を始めたいと思います。 まずは幹部社員から始めたいと思います。

 

 こうした気付きの機会を与えてくださった盛和塾の皆様に深く感謝いたします。

 11月の社内リーダー研修、および一般勉強会では、「日本航空の再建に学ぶ」をテーマとして学びを共有しました。
 今、勉強会に関しての従業員の皆さんのレポートを読んで、私の心は爽やかな感動に包まれています。
 今がベストのタイミングだった。このテーマをやってよかった。そう思います。
 今だからこそ、私たちにはJAL再建の意味が理解できるし、自分のことのように感じ取ることができるのだと思います。
 そして、勉強会を通して私たちが日々取り組んでいることが、実は世界最高水準の経営システムであることがご理解いただけたと思います。

 ◇JAL衝撃の倒産

 スリーイーグループの従業員の皆さんには、JAL再建のスタート地点からその一部始終を逐次報告してきました。
 JALの衝撃的な倒産。そして、経営再建を引き受けた盛和塾稲盛塾長。
 私は未だにその両方の衝撃を忘れることができません。倒産前のJALはいいところも悪いところもありましたが、私自身は結構好きでした。私にとってJALは憧れのエアラインであり、憧れのブランドでした。
 しかしそのJALが倒産したのです。業績が悪いことは聞いていましたが、国策会社でしたので、倒産することはあり得ないと思っていました。それがまさかの倒産です。
 そしてもう一つの衝撃は、稲盛塾長がJALの再建を引き受けられたことです。

 ◇JAL再建の意味、その奥深さ

 2010年2月、稲盛塾長は政府からの要請を受け、日本航空の会長に無給で就任されました。
 京セラとKDDIを世界的な企業にまで育てられた塾長が、どうして経営破綻した日本航空の経営を引き受けなければならなかったのでしょうか?
 すでに塾長は当時78歳というご高齢でした。功成り名遂げられ、世界に名を知られる塾長が、敢えて火中の栗を拾うに至った悲愴なまでのご決意に心が痛みました。
 日本航空の再生は至難の業とも言われていました。もし再生に失敗したら、塾長の名前には大きく傷がついてしまいます。
 仮に再生が成功したとしても、あれだけ政府が支援したのだから、あれだけ犠牲になった企業や人がいたのだから当然だ、と世間は冷たい評価をするでしょう。
 そのような、ご自身にとって全く利益ならないばかりか、大変リスクの高い決断を塾長は下されたのです。
 敢えて火中に身を投じられ、自らの命を削って、ご自身の人生を賭けて日本航空の再生に挑まれたのです。
 塾長は日本航空の再建を請け負うことが、残された日本航空の社員の生活を守ることになり、ひいては日本経済のためにもなる重要なことだとの思いから、日本航空の再建を引き受けられました。
 その悲愴までの決意は今なお忘れることができません。

 ◇JAL再建を心から応援 

 そして、盛和塾生は全員でJALの応援に立ち上がりました。もちろん、私自身も本気で応援しようと思いました。
 出張の際は、なるべくJAL便に乗るようにしました。(実は宿泊とセットにすれば新幹線よりも安くなります)
 またJALの乗るたびに、地上職やキャビンアテンダントの方に「応援カード」を渡して、激励をしました。
 JALの社員の方々も、必死に経営再建に臨んでおられました。それまでは、確かにサービスがひどい部分がありました。
 JALのイメージとしては、つっけんどんで、高慢で、鼻持ちならない、そんな感じがありましたが、倒産してからは皆さん謙虚にして驕らず、素直に真面目に一生懸命に再建に取り組んでおられました。
 私はそうしたJAL再建の一挙手一投足を見守ってきたつもりです。本当に、心から頑張って欲しいと思いました。

 ◇フィロソフィとアメーバ経営の導入

 私は当初から、塾長がJALを再生するからには、フィロソフィとアメーバ経営を導入するに違いないと確信していました。
 そして思った通り、フィロソフィとアメーバ経営はJALに少しずつ導入されていきました。
 まずは塾長自らによる経営陣へのフィロソフィ教育からスタートしました。そして経営の原点12ヶ条の紐解き講座。そして幹部勉強会。その後一般社員への浸透。そして、JALフィロソフィ手帳も作られました。
 その頃、JAL便に乗るたびに、JALで働く人たちの意識の変化が感じられるようになりました。顧客対応がとてもていねいになり、心のこもったおもてなしが感じられるようになりました。
 それまでは形式的だった機長のアナウンスにもあらん限りの心づくしと創意工夫が見られるようになりました。キャビンアテンダントも心からの笑顔で、やさしくに応対していただけるようになりました。

 アメーバ経営導入に関しては、アメーバ経営の申し子と呼ばれるKCCSマネジメントコンサルティングの森田会長から、逐次その過程を聞くことができました。
 思えば、こんなに小規模なスリーイーグループにとっても、アメーバ経営の導入は大変に骨の折れる作業でした。
 ですから、社員が3万人以上もいるJALで「小規模のアメーバをたくさん作って、部門別採算制度を導入する」ということは至難の技であることは誰の目にも明らかでした。
 森田会長はそのJALに、副社長としてアメーバ経営の導入を推進する立役者として招かれたのです。
 森田会長は当初から、「路線便ごとの採算管理をやる」とおっしゃっていました。私にはそれが大変難しいものであることが即座に理解できました。
 そもそも航空運送事業とは、大変多くの人が関わって仕事をしています。ひとつの航空機を飛ばすにあたっては、航空機を操縦するパイロットがいて、客室乗務員がいる。
 また地上では整備する人がいて、チケットを売る部門がある。カウンター業務を行う人、荷物をハンドリングする人。食事を準備する人、機内を掃除する人・・・
 このように、たくさんの人が関わって一つの航空機を飛ばしています。そのため、それを部門別に採算管理することは到底不可能と思えるものでした。もちろん、世界のいかなる航空会社もそういったことはやっていませんでした。
 しかし、部門別採算管理は健全な経営をするには必要不可欠なものです。世界中の航空会社はそれをやっていなかったため、赤字になっても原因追究が不十分でした。よって頻繁に倒産が起こり、合従連衡が絶えない業界です。
 そのような中で、JALは敢えてその困難な道を選びました。3万人以上もいる従業員を小規模なアメーバに分け、厳格な部門別採算管理を追求しました。そして、一便一便単位の採算管理も導入しました。
 そこまでやれたら結果は明白です。JALは猛スピードで再生していったのです。
 巨額の負債を抱えて倒産したJALは、更生1年目の10年度には営業利益1884億円(更生計画では641億円)、2年目の11年度には2049億円(同757億円)と、それぞれ更生計画を1000億円以上上回る目覚ましい回復を遂げたのです。

JAL軌跡の再生(週刊ダイヤモンド 企業特集より転載)

 ◇JALの社内勉強会に招かれて 

 昨年夏、JALの社内勉強会に招かれたことがありました。
 勉強会は衝撃でした。鼻持ちならないJALのエリートたちが、フィロソフィに批判的な態度でいやいや勉強しているのだと高をくくって参加しました。
 しかし、実際は全く違いました。世界に冠たる企業であったJALが経営破綻し、皆強い衝撃を受けて、自分たちの過去の振る舞いを反省し、一からやり直そうという気概に皆あふれていました。
 JALの皆さんは、本当に会社をよくしようと、本気で考えていらっしゃいました。経営破綻した原因を他責ではなく、真に自分たちのの過去の行いに原因を求めて、変わらなければならないと本気で思っていらっしゃいました。
 それも、JALを再び世界に冠たる航空会社にするんだという強い思い。さらには、自分たちには必ずそれが成し遂げられるんだという、自分たちの可能性をあくまでも信じる姿勢に満ちあふれていました。
 客室乗務員の方をはじめとして、予約係の方、旅行会社への営業窓口の方、お客様サポート室の方、ウェブ販売担当の方、路線を計画する方、パイロットの方、整備の方、貨物担当の方、人事の方、そして多くの社員を束ねる役員の方々等々。
 みなさんそれぞれが、会社をよくしていこうという熱意にあふれていました。あくまでも明るく前向きに、未来を信じて、希望に満ちあふれておられました。
 もともとホスピタリティあふれるJALの社員の方々は、フィロソフィの理解も早かったのだと思います。
 先輩面を下げて安易に参加した自分自身が逆に学ばされました。

 ◇JALの再建を通じて学ぶこと

 JALの再建は私たちに多くのことを教えてくれました。
 私たちが4年以上をかけて導入したフィロソフィとアメーバ経営。新しい考え方、新しい経営手法に誰もが戸惑ったことと思います。中にはそれが原因で会社を離れていく人もいました。
 しかし、私は確信していました。フィロソフィとアメーバ経営こそが私たちを救うのだと。
 「絶対にフィロソフィとアメーバ経営は大切だ。絶対に私たちには必要だ。でもみんなを本気にさせるのは難しい・・・」そう思いました。
 私たちにとって、フィロソフィとアメーバ経営の浸透は長い年月が必要でした。しかし、私はJALの再建を通じて思ったのです。
 「JALの例を聞けば皆、共感できるはずだ。JALがフィロソフィとアメーバ経営によって軌跡の再建を遂げたことを学べば、皆本気になってくれるはずだ。JALの社員の大きな変化を目の当たりにすれば、フィロソフィとアメーバ経営の威力をわかってくれるはずだ」そう思いました。
 そして、そのJALの再生を皆で学ぶの日が訪れたのです。

 今、勉強会に関しての皆様のレポートを読んで、私の心は爽やかな感動に包まれています。
 今がベストのタイミングだった。このテーマをやってよかった。そう思います。
 今だからこそ、私たちにはJAL再建の意味が理解できるし、自分のことのように感じ取ることができるのだと思います。
 そして、勉強会を通して私たちが日々取り組んでいることが、実は世界最高水準の経営システムであることがご理解いただけたと思います。
 これからもフィロソフィとアメーバ経営を携えて、スリーイーグループの従業員皆で仲間の幸せのため、そして社会貢献のために、未来に向かって邁進しましょう!

 ◇スリーイーグループの社内行事について
 私たちは社内行事を大切にしています。毎月のお誕生会、ボウリング大会、バーベキュー大会などなど・・
 私たちの働く目的の第一は「みんなでみんなを幸せにする」ことです。仲間同士が分かり合い、信頼関係を築き、コミュニケーションを深めていくことにより、みんなでこの会社を盛り上げていきたいと考えています。
 みんなが家族のようにお互いがお互いの幸せを考えていきたい。だから私たちは従業員同士をスリーイーファミリーと呼んでいます。従業員同士がまるで家族のような関係で結ばれる「大家族主義」を私たちは目指しています。
 家族のような人間関係であることが、スリーイーグループの大きな特徴だと思います。

(つづく)

 ◇フィロソフィ(経営哲学)
 次に私たちのフィロソフィについてお話しします。
 フィロソフィには「人間としてこういう生きざまが正しいと思う」ことが書かれています。それは私たちの判断基準であり、私たちの人生と経営の哲学です。
 私たちが持つフィロソフィ手帳には72項目のフィロソフィが書かれています。私たちはこれを全員がことあるごとに学び、価値観を共有しています。
 フィロソフィの72項目の内容は、心やさしいものもあり、また強く、厳しいものもあります。
 私たちが素晴らしい成果を上げるためには、どういう心構えでなければならないか。このような生き方で人生を送り、仕事をしていけば、ひとりひとりの人生も幸福になり、会社全体も繁栄するのか。
 そのような行動基準を示したものがフィロソフィです。


 フィロソフィをひとつひとつご説明するには大変な時間がかかりますので割愛させていただきますが、簡単に言いますとフィロソフィには大きく分けて二種類あると言えます。それを縦軸と横軸にするとします。
 ひとつは社是にもあります「利他」です。それは「愛」「やさしさ」「思いやり」と言い表すことができます。これを横軸とします。右側が「利他」、左側が「利己」です。それは「調和」の軸と言ってもいいでしょう。
 私たちはフィロソフィを学び、できる限りこの調和軸の右側の方、「利他」の方向へと自分自身を変えていこうと努力します。
 そしてもう一つが「進歩・発展」です。それは「努力」と言ってもいいでしょう。これを縦軸とします。上が努力です。下は怠慢です。下のほうが怠け者ということです。
 私たちはフィロソフィを学び、縦軸の上の方を目指していきます。努力の方向、進歩・発展する方向を目指すのです。
 以上のように、フィロソフィは大きく分けて二通りに分類されます。
 ひとつが「利他」、一つが「進歩・発展」です。それを横軸と縦軸に置くと四つのエリアができます。その右上のエリア、つまり「利他」でありながら「進歩・発展」を目指すのが私たちのフィロソフィです。

 代表的なフィロソフィをご紹介します。

11.高い目標をもつ

 高い目標を設定する人には大きな成功が得られ、低い目標しかもたない人にはそれなりの結果しか得られません。自ら大きな目標を設定すればそこに向かってエネルギーを集中させることができ、それが成功のカギとなります。明るく大きな夢や目標を描いてこそ、想像もつかないような偉大なことが成し遂げられます。
 スリーイーグループは、東証一部上場、売上1000億、経常利益率10%を目指します。そのためには、企業哲学、行動指針においても超一流のものが要求されます。
 それは経営者や従業員にとって、窮屈な厳しい生き方を要求するものになるかもしれません。また経営者と個々の従業員に自ら果たすべき義務が生じることも忘れてはなりません。


 「現状維持は退歩の始まり」です。私たちスリーイーファミリーは、全員が自ら主体となって未経験分野まで仕事を広げていかなければなりません。自らの限界を打ち破って、未開拓分野に挑戦することこそが、私たちの未来を築いていくのです。

 この「高い目標をもつ」は「進歩・発展」を目指すフィロソフィの代表的項目です。私たちは。特にこの「進歩・発展」を重視しています。
 スリーイーファミリーには心優しい人が多いです。仲間のこと、お客様のことを思いやり、利他の心で仕事をしています。しかしこの「進歩・発展」することが難しいのです。
 人間は誰しも新しいものを怖がってしまいます。仕事で新しいものに取り組むのは勇気が必要です。失敗したらどうしよう、と考えてしまいます。そうすると今やれることだけに取り組んでしまいがちです。
 しかし、「現状維持は退歩の始まり」なのです。日本は人口が減少し、不景気です。円高で経済状況も大変厳しいです。皆食べるのに必死になっています。
 そんな中で現状維持だけをやっていると、周囲の競争が激烈ですので、やがては競争に負けてしまいます。現状維持だけを考えていると没落を招くのです。
 これは個人でも同じです。このままでいいや、と努力を放棄していると、怠惰な人生になり、堕落し没落していきます。


 ですから私たちは「進歩・発展」を強く目指します。新しいことにチャレンジし、進歩・発展を目指すのです。高い目標を立て、困難を乗り越えながらつかみとっていくのです。
 フィロソフィの「進歩・発展」の軸がこれからの私たちには必要とされています。だからこそ、皆さんを募集して、いっしょに「進歩・発展」していきたいと考えているのです。

(つづく)

スリーイーグループ会社説明会「トップセミナー」より-21 〜スリーイーグループの社内行事について

 ◇ビジョン(将来像)
 次は私たちのビジョンについてお話しします。ビジョンとは私たちの将来像のことです。
 私たちスリーイーグループは、ジャスダック上場、そして東証一部上場を目指しています。そして、その後売上1,000億円 1兆円(5月5日に上方修正)・経常利益率10%を成し遂げ、日本有数、世界有数の企業になることを目指しています。
 なぜこんなにも大きなことを目指すのでしょうか。それは、企業として成長発展することが、全従業員の幸せをつくる上で必須だと考えているからです。
 スリーイーグループが成長することで、働く皆さんの待遇をよくすることができます。新しいことに次々にチャレンジし、それぞれの従業員がスキルを高め、働くステージを上げていくことができます。
 せっかくこの世に生まれてきたのだから、大きなことを成し遂げたい。仲間とともに一生懸命働き、高い目標を持ち、数々の困難を克服してつかみ取ることの喜びを味わいたい。
 そんな充実した人生を送ることが、人として大切なことだと私たちは考えています。そのために会社としても大きなビジョンを掲げ、仲間とともに頑張っていこう。困難を乗り越えてつかみとっていこう。
 そのように考えて、私たちは高いビジョンを掲げています。

 

(つづく)

スリーイーグループ会社説明会「トップセミナー」より-20 〜フィロソフィ(経営哲学)について

 【E−business(電子商取引の推進)】
 私たちは、企業間電子商取引のリーディングカンパニーとして未来へと進化します。

 皆様にお配りしたオフィネットのカタログをご覧ください。
 こうして私たちはたくさんの事務用品を取り扱っています。しかもその単価は数十円のものからあります。
 このような単価の低い商品に対して、取引を手作業で行うことはとても非効率です。もし手作業で行えば、わたしたちはいくら頑張っても手間ばかりかかって、事業としては成り立たないでしょう。
 またこれはお客様にとっても同じです。小額で多品種の取引を手作業で行うことは、お客様にとっても多大な労力がかかります。手作業による間違いも増えます。
 ですから、私たちにとっても、お客様にとっても、取引の電子化は避けては通れません。私たちは積極的に取引のインターネット化、電子商取引化を図り、売り手買い手双方の効率化を推進していきます。

 

(つづく)

スリーイーグループ会社説明会「トップセミナー」より-19 〜ビジョン(将来像)について

 【Ecology(環境保護)】
 私たちは、環境保護、資源再利用、地球温暖化防止のために、環境にやさしい商品を普及させます。

 私たちと「エコロジー」との出会いはトナーカートリッジから始まりました。創業当初のインクリボンから、時代はやがてレーザープリンターの時代、つまり消耗品がトナーカートリッジにに変わっていきました。
 今プリンターは大きく分けて二種類あります。一つはインクジェットプリンターです。皆さんがお使いのものです。これは個人向けに使われることが多いです。
 そしてもう一つがレーザープリンターです。レーザープリンターは企業向けに使われることが多いです。
 インクジェットがなぜ個人向けかと言いますと、レーザープリンターに比べて価格が安いからです。しかし、印刷スピードがレーザーよりも遅いのです。
 企業ですと、やはり印刷スピードを求めます。プリンターの価格は高いですが、企業ではインクジェットよりもレーザープリンターが選ばれることが多いのです。
 私たちは当初インクリボンを販売していましたが、技術革新によりそれがレーザープリンターとインクジェットプリンター、つまりトナーカートリッジとインクカートリッジに変わっていきました。
 そして、私たちはインクリボンを企業向けに販売していましたので、私たちの仕事はインクリボンからレーザープリンターのトナーカートリッジへと変わっていったのです。
 しかし、そのトナーカートリッジが環境に大変よくないものだったのです。


 カートリッジ式は交換時に手が汚れないなど、とても便利なものです。しかし、トナー(黒い粉)が無くなっただけでカートリッジごと捨てなければならないものでした。
 どう見てもカートリッジの部分はまだ使えそうなのに、カートリッジごと捨てなければならなくなってしまったのです。
 20年前は、トナーカートリッジの箱には「使い終わったら燃えないゴミとして捨ててください」と書いてあったくらいです。
 ですから、当時のレーザープリンターユーザーは皆が皆、こんなにも大きなトナーカートリッジを使い終わったら捨てていました。
 大企業ともなると、10本も20本も捨てることになります。これはものすごい資源の浪費です。環境破壊です。
 しかし、皆そうするしかなかったのです。仕事をするためにレーザープリンターを購入した。
 レーザープリンターを使おうとするとトナーカートリッジを買わなければならない。しかしそのトナーカートリッジには選択肢がない。カートリッジ方式の純正トナーカートリッジを購入することになる。するとそれは使い捨て商品で環境に大変よろしくない。
 先ほども言いましたが、環境に悪いからこんなトナーカートリッジ使いたくない、と言いますとどうなるでしょうか?
 せっかく購入したレーザープリンターが使えないことになってしまいます。そうするとプリンターを購入した意味がなくなってしまいます。もとより、仕事ができなくなります。だからトナーカートリッジは購入するしかないのです。
 こうしてユーザーは完全に悪循環にはまってしまうのです。

 カートリッジ化でいくら便利になったからといっても、使い捨てをして貴重な資源を無駄にし、環境を破壊することは決して許されることではありません。
 そこで私たちはトナーカートリッジのリサイクル事業に乗り出しました。使用済みカートリッジを回収して、トナーを再充填してお客様に再びカートリッジを使っていただくというものです。私たちがトナーのリサイクル事業を始めたのは、関東地区では一番最初でした。

 これが私たちの3つのEのひとつ「エコロジー」の始まりだったのです。

 

 特に私自身は最初から環境論者であったわけではありません。たまたま扱っていた商品が環境によくないものだった。それを何とか解決しなければならないと思った。そこから自然に私たちの「エコロジー」が始まったのです。
 その後、先程も説明した通り、私たちはインクカートリッジのリサイクルにも乗り出しました。私たちはだれにもできなかったことを実現したのです。
 困難と思われていた使用済みインクカートリッジの回収をするために、使用済みインクカートリッジの回収ボックスを家電量販店に設置していったのです。
 そしてその後、プリンターメーカーによる様々な妨害やいじめにも耐え抜き、今や国内のインクカートリッジ市場において、エコリカ・リサイクルインクのシェアは約10%にもなりました。
 リサイクルインクの中では90%以上という驚異的なシェアを誇っています。
 トナーカートリッジのリサイクルから始まった私たちの「エコロジー」。それはインクカートリッジのリサイクルへと進化し、そして今、LED照明事業にまで発展してまいりました。
 照明のLED化を通して、原発問題を発端とするエネルギー不足、化石燃料の浪費による環境破壊、資源浪費に対して、私たち自身の手で解決させていきたい。
 私たちが立ち上がることで、少しでも環境に貢献できれば、そんな思いで私たちは仕事をしています。

 

(つづく)

スリーイーグループ会社説明会「トップセミナー」より-17 〜ミッション(社会的使命:3つのE)について③ 【E−business(電子商取引の推進)】 

 ◇ミッション(社会的使命)〜3つのE〜
 私たちスリーイーグループの従業員は、経営理念を具体的にどのように実現するのか。その行動指針が「3つのE」です。それは私たちのミッションであり、社会的使命です。

 

 【Economy(経済性の追求、流通価格革命)】
 私たちは、経済性に優れた商品を開発し、流通と価格に革命をもたらします。

 ここまでで説明したように、私が就職してすぐに出会ったビジネスが私たちの「エコノミー」の原型となりました。
 今から29年前の当時から、プリンターメーカーはユーザーの弱みにつけこみ、インクリボンに法外に高い価格をつけ、メーカー純正消耗品の販売によって膨大な利益を独占していました。
 プリンターメーカーはユーザーから消耗品の選択肢を奪い、大変な不利益をユーザーに与えていたのです。
 これに対して、できる限り安い商品を提供して、困っているユーザーを救おうというのが私たちの「エコノミー」です。
 あまりにも価格が高すぎてみんなが大変困っている、というお話は世の中にたくさんあります。私たちはそれらの問題点や矛盾をなんとか私たちの手で解決していきたいと思っています。
 こうした「エコノミー」を実現した企業の代表的な企業がユニクロ(ファーストリテイリング)ではないでしょうか?
 例えば今私が着ているワイシャツはユニクロのものですが、昔はこうしたちょっとしたワイシャツがすごく値段が高かったのです。通常は5千円くらい。いいものだと1万円を超えるものもありました。
 社会人になると忙しいですから、当時一人暮らしだった私は毎日洗濯することができませんでした。しかし、営業マンですから清潔が大切です。毎日ワイシャツを交換しなければなりません。そうするとワイシャツは最低10枚は必要になります。
 駆け出しの営業マンでしたので、ワイシャツ1枚5千円、1万円はあまりにも高いと思いました。ということで何度か安物のワイシャツを買ったことがありました。そうすると、途端に「安かろう悪かろう」の商品なのです。着心地が悪かったり、かゆくなってきたり、生地が体が透けてしまうほど薄かったり、一度洗うと極端に縮んだり・・・「安物買いの銭失い」を地で行っていました。
 そんな中で、ユニクロという会社は素晴らしいと思います。千円ちょっとですごくいいワイシャツを売っています。最近は私はユニクロばかり愛用しています。本当に助かっています。
 こうした「価格が高すぎて困っている人たちを助けるビジネス」をやりたいと私たちは考えています。これは大変大きな社会貢献になると思います。これが私たちの目指す3つのEのひとつ、「エコノミー」です。

 

(つづく)

 スリーイーグループ会社説明会「トップセミナー」より-17 〜ミッション(社会的使命:3つのE)について② 【Ecology(環境保護)】

 ◇三方よし
 古来より近江商人の間では「三方よし」が商人道の真髄であると言い伝えられてきました。
 それは「買い手よし、売り手よし、世間よし」というもので、つまり商売とは、買う人も、売る人も、さらにはその両者を取り巻く社会さえもよいというものでなければならない。「三方よし」でなければ真の商いではないということです。
 私たちはこの「三方よし」を大切にしています。私たちの幸せ、つまり「売り手よし」だけではなく、「買い手よし、世間よし」つまり、お客様に貢献し社会にも貢献することを大切にしています。
 私たちは、お客様、また我々に物を売ってくださる取引先、あるいは仕事を手伝ってくださる協力会社、さらには会社を取り巻く全ての人たちが共に生きていけるような、共生の関係を築いていきたいと考えています。

 事業とは単なる利益の追求を目的としているものではありません。仕事とはただ生活のためだけにしかたなく働くというものでもありません。
 私たちがいなければ、世の中はよくならない。人々が私たちの活躍を求めている。私たちの成果を心待ちにしている人たちがいる。仕事を通して、積極的に人のお役に立ちたい。仕事を通して社会貢献したい。    
 そのような熱い気持ちで私たちは働いていきたいと考えています。

 そして、この経営理念の達成のために私たちが具体的になすべきことが、私たちのミッション(社会的使命)、三つのEです。

 

(つづく)

スリーイーグループ会社説明会より 〜ミッション(社会的使命:3つのE)について① 【Economy(経済性の追求、流通価格革命)】

 ◇人類・社会の進歩発展と地球環境に貢献する 
 私たちの経営理念の第二の目的・意義は「人類・社会の進歩発展と地球環境に貢献する」です。

 働くことには大切な意味があります。生きることにも深い意味があります。
 働くことは、仕事を通じて一人でも多くの人のお役に立つことです。世の中のため、人のためになることです。
 皆さんは、今までは学生として社会から守られて生きてきました。どちらかと言うと税金を使う側でした。社会から「してもらう」側でした。
 しかし就職すると立場がガラリと変わります。働くことによって今まで社会受けてきた恩を返す側に回ります。税金を使う側から、税金を納める側に変わります。「してもらう」側から「してあげる」側に回るのです。
 皆さんも今までボランティアなどをされてきたこととは思いますが、個人でできる社会貢献には限界があります。しかし、仕事を通してなら、かなり大きな社会貢献ができます。
 一人のお役にたつのではなく、何百人、何万人、何十万人のお役に立つことができます。社会への貢献を仕事の目的としていけば、何百万人、何千万人のお役に立つことも不可能ではありません。それほど仕事が持つ力は大きなものがあります。
 働くことによって、一人でも多くの人のお役に立つこと。仕事=社会奉仕。それが私たちが働く意味なのです。

 

(つづく)

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について⑤ 「三方よし」

 ◇物心両面の幸福の「物」とは
 「物」とはモノです。「物」とは豊かさであり、待遇です。私たちが安心して生活できるということです。同じ仲間として、生涯を通じてこの会社で働いて生活ができることです。
 皆さんはまだ若く、家庭を持ってはいません。一人で生きていくなら、なんとかなるかもしれません。しかし、皆さんはこれから家庭を持つことになると思います。そうすると家族の生活を支えていかなければなりません。
 家族が幸せに、安心して生活するためには、まずはその基盤となる「物」が必要になります。それが物心両面の「物」です。

 ◇「心」の幸せとは
 しかし、人の幸せは物的なものだけではありません。心の幸せが必要です。
 物心両面の「心」とはその「心の幸せ」を意味します。

  皆さんは、何のために就職するのでしょうか?
 親が就職しないとうるさいからでしょうか?
 就職しないと世間体が悪いからでしょうか?
 友達みんなが就職するからでしょうか?
 大学を出たら就職することが常識だからでしょうか?
 遊ぶお金を作りたいからでしょうか?

 単に常識や世間体で働くなら、限界が出てきます。なぜなら、人は誰もが望む就職ができるわけではないからです。
 特に今の時代、就職活動は大変厳しいです。こうして皆さんは何十社も応募し、苦労されていることかと思いますが、希望の就職を叶えられる人はごくわずかしかいません。
 なんとか内定が出た。本意ではないがそこに就職する。そうした人がほとんどだと思います。
 私自身も、学生時代はあまり自分自身の将来や人生のことを深く考えていませんでした。就職活動自体も、あまり企業の研究もせず、流行に目を奪われながら大した軸も持たずに就職活動をしていました。
 そんな中で、やみくもに就職活動をして内定をもらい、自分の本意ではないところに何となく就職してしまう、ということが起こります。そして、これは自分の希望していた道ではないのだ、と思いながら、迷いながら仕事に就くことが往々にして起こります。
 これが不幸の始まりなのです。
 就職すると、時間の大半を仕事に費やすことになります。朝早く起きて、家に帰る頃にはもう夜になっています。まさに人生の大半が仕事になります。
 その仕事を、本意ではなく働くことが幸せでしょうか。自分の本当のやりたいことはこれではない、と迷いながら働くことが幸せでしょうか。
 また、単に世間体を繕うために働くことが、本当に幸せなのでしょうか。

 私たちは、働くことによって「心の満足」を追い求めたいと考えています。
 「心の満足」とは、一生懸命働いて、充実した人生を送ることです。また仲間とともに高い目標にチャレンジし、困難を克服しながらその高い目標を成し遂げることによって、何物にも代えがたい喜びを得ることです。
 ですから、まず必要なのが仕事を好きになることです。与えられた仕事が、出会った仕事が天職とも思えるようになるまで、仕事に打ち込むのです。
 仕事に打ち込めば成果が出てきます。いい仕事をすれば、お客様からも感謝されます。仲間からも感謝されます。感謝されるとさらにやる気も出てきます。
 お客様から感動されることもあります。感動が感動を呼び、本当にこの仕事をやってよかったな、と思えるようになります。そうしたことを通して、「たまたま就職した仕事」が「好きな仕事」「天職と思える仕事」に変わっていきます。
 こんな仕事はやりたくはなかった、と思いながら働いてもいいことは何もありません。私たちは、それぞれが仕事に精魂込めて打ち込み、新たなチャレンジを繰り返して働く喜びを追い求めます。そして、仕事を通して充実した素晴らしい人生を送りたいと考えています。

 また、私たちは心の豊かさを求めています。私たちはフィロソフィの学びと実践を通じて、人間性を豊かにし、心を高めていきます。
 すさんだ心には幸せは訪れません。人として正しいことは何であるかを学び、実践していくことにより、人間の本当の幸せが訪れます。
 先ほどお話した「仕事を好きになり、一生懸命仕事の打ち込む」ということも、「フィロソフィの実践」の一つです。このフィロソフィについては後ほど詳しく説明いたします。

 

(つづく)

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について④ 「人類・社会の進歩発展と地球環境に貢献する」

 ◇仲間の幸せをつくる
 私たちの経営理念の副題には、「みんなでみんなを幸せにし続ける。私は私以外の全従業員を幸せにし続ける。」とあります。
 私たちは仲間として、同じ志を持つ同志として、みんなでみんなを幸せにしていきます。自分自身の幸せは仲間の幸せを願うことから始まります。私たちには自分以外の仲間全員を幸せにしようという考え方が根付いています。
 例えば、営業職になったとしましょう。今の季節はそうつらくはありませんが、これが夏になると外回りの営業はつらいものです。一生懸命営業活動していると汗が吹き出し、頭がクラクラしてきます。冬の営業は寒風吹きすさぶ中、手足を凍らせながら歩かなければなりません。雨の日はずぶ濡れになっても歩き続けなければなりません。
 また、お客様を獲得することは容易ではありません。何十件、何百件と断られることもあります。どんなに誠心誠意がんばっても、お客様から罵倒されることもあります。
 普通なら、こんなことやってられない、と思うものです。お客様と向きあうと、なにかと理不尽なことも起こります。もう我慢できない、と思うこともしばしばでしょう。そんな時、仲間のことを思うのです。
 「自分は選ばれて営業職になったのだ。会社では自分の営業成果を期待している仲間が待っている。仲間が親を待つ小鳥のように、口を開けて待っている。つらい、苦しいなどとは言っていられない。仲間のためにがんばろう!」
 こう思うのです。
 仲間とともに、みんなで幸せになる。みんなで一つの目標に向かって頑張る。仲間の幸せを願って頑張る。これが「全従業員の幸福を追求する」「みんなでみんなを幸せにし続ける」ということです。

 

(つづく)

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について③ 「物心両面の幸福とは」

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について〜

 ◇経営理念
 「全従業員の物心両面の幸福を追求し、人類・社会の進歩発展と地球環境に貢献する。
 みんなでみんなを幸せにし続ける。
 私は私以外の全従業員を幸せにし続ける。
 私たちスリーイーファミリーは全人類を幸せにし続ける。」

 経営理念とは、私たちの働く目的です。働く意義です。何のために働くかです。そして経営理念とは会社の存在意義でもあります。これを実現するためにスリーイーグループが存在し、この目的を果たすために、私たちは日々活動をしています。

 ◇全従業員の物心両面の幸福を追求する
 私たちの経営理念には、まず「全従業員の物心両面の幸福を追求する」とあります。つまり、私たちの第一の目的は仲間の幸せをつくることにあります。それも物心両面の幸せです。
 一般的には企業は利益を追求しています。大企業は大きな利益を追求します。中小企業では、経営者が自分自身の利益を追求していることがほとんどです。しかし私たちは違います。まず第一の目的が「従業員の幸せ」なのです。
 世の中にはお客様第一主義を掲げる企業も多くあります。しかし、私たちはお客様に満足を与えるには、まずそこで働く従業員が幸せでなければならないと考えています。
 なぜなら、従業員が幸せでなければそれはお客様に伝わってしまうからです。従業員同士の関係がギスギスしていたら、その信頼関係のなさはお客様にも伝わってしまいます。
 お客様に満足を与えるためにも、従業員の幸せが大前提となります。従業員が幸せであることが、ひいてはお客様第一主義にもつながると私たちは考えています。

 

(つづく)

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について② 「仲間の幸せをつくる」

会社説明会でお話ししている内容 〜社是「利他」について〜

 ◇会社紹介資料「スリーイーグループが掲げる経営哲学(フィロソフィ)とは?」を読みながら

 ◇社是「利他」
 「自分を犠牲にしても他を助けようとする考え方、それが利他です。
 スリーイーグループでは、全従業員が自分や自社だけのことを考えて行動をとるのではなく、まわりの人や社会のことを考え、思いやりに満ちた「利他の心」をベースとして業務にあたっています。」

 私たちの社是は「利他」です。
 利他とは、「利己」の反対です。
 利己とは、自分のことだけを考えるという意味です。ですから利他とは、自分のことだけを考えず、他人を思いやるという意味です。それは「やさしさ」、「愛」とも言えます。
 近頃、この「利他」という言葉がしばしば使われるようになってきました。東日本大震災の影響もあるのでしょう。大震災を経験して、誰もが「自分のことだけを考えていてはいけない「何か人のためにならなければならない」ことに気がついたのだと思います。
 「自分の幸福を自分のものだけにしてはならない。人に分け与えなければならい」
 大震災を経て、誰もがそのように気づき、「利他」の行動を開始したのだと思います。
 私たちは、自然の猛威を思い知るとともに、単なる経済発展だけを追い求めるのだけではなく、「利他」の心にもとづいた、人と人との調和、心のつながりを求めるべきだと気がついたのです。
 私たちスリーイーグループは、こうした「利他の心」をベースに活動をしています。私たちの企業活動は、そのすべてが「利他」につながると言っても過言ではありません。

 

(つづく)

会社説明会でお話ししている内容 〜経営理念について① 「全従業員の物心両面の幸福を追求する」

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