2007-09-21
 ■イランの世界地図
  ◇イラクとの違い
   イランとイラクの区別がついていない日本人は以外に多い。
   イラクは、イラク戦争があった国だ。
   イラクとは、「チグリス川とユーフラテス川の間」という意味である。
  
  ◇アーリア人の国
   一方、イランとはアーリア人の国という意味である。
   その昔、北ヨーロッパの白人種であるアーリア人が大移動し(アーリア人の大移動)
   この地に到達し、アーリア人の国と命名したわけだ。
   その後、アーリア人たちは先住民族との結婚を繰り返して、肌の色は次第に黒く
   なっていった。
   しかし、未だにイランの人たちはアーリア人としての誇りをもっており、
   たまに生まれてくる肌の白い子供をみて「やっぱり我々はアーリア人なんだ!」
   と歓喜するらしい。
  
  ◇ペルシャ語
   さて、イランの言語がアラビア語であると思っている人が多い。
   だが、イランの言語はペルシャ語である。
   イランでは、アラビアの国々と同じアラビア文字を使っている。
   例の右から書く文字だ。
   文字が同じなので、イランがアラビア語だと勘違いされるのだ。
  
   なぜイランはそんなややこしいことをしたのだろうか。
   だが、それは世界中ではよくあることなのだ。
   フランスも、イタリアも、スペインも、皆アルファベットという文字を
   使っているではないか。
  
   イランもこれと同じ。
   ただ、文字についてアラビア文字を使っただけなのである。
   よくあることなのだ。
  
  ◇パレスチナ
   イランの世界地図を見ると、イスラエルという国が存在しない。
   中東の国々のほとんどは、イスラエルを承認していないのだ。
   だからイランで地図を買うと、イスラエルのあたりはパレスチン(パレスチナ)
   と書いてある。
   そして、イスラエルの首都エルサレムもイランで買う地図では、跡形もなく
   消えてしまっている。
  
   パレスチナは、実際は暫定自治区とされているヨルダン川西岸地区と、ガザ地区
   にしかないはずなのだが、イスラエルを承認していない国々の地図をみると、
   イスラエルのあるあたりが全部パレスチナなのだ。
  
   こうして地図をみるだけで、中東地域の複雑な事情を垣間見ることができる。
  
 ■ヨルダンの世界地図
   中東地域では、イスラエルを認めている国が2つある。
   エジプトとヨルダンだ。
   これらの国は、中東戦争でイスラエルに負けたのだが、イスラエルと国境を
   接している関係もあって、その後の良好な関係を結ぶべきだと考えて、
   イスラエルを承認したのだ。
  
   だから他のアラブ諸国とは一線を画し、ヨルダンの世界地図にはイスラエルがある。
   だがヨルダンはアラブ諸国に気を使って、パレスチナも同時に世界地図に載せている。
   中東地域の複雑な事情は、ここにも見られるわけだ。
 