2007-10-05
 全くもって、不公平で、理不尽すぎるバイトをやったことがある。
  
 それは東京都府中市にある、ある運送会社でのお歳暮配達のバイトだった。
  
 免許とりたてということもあって、車が運転したくてたまらなかった私は、少々バイト代が安くてもいいや!と思い、トラックが運転できるこのバイトを始めた。
 大好きな車の運転ができて、バイト代ももらえるのは、まさに一石二鳥だ。
 そのバイト代は、お歳暮を1個配達すると80円もらえるというものだった。
  
 さあ、がんばって稼ごう!
 配達するトラック一杯のお歳暮と、地図を渡されて、張り切って京王線聖蹟桜ヶ丘駅近くの配達エリアに向かった。
  
 ところが、渡された地図はえらく大雑把なものだった。
 配達エリアの細かな番地が載っていないのだ。
 届け先の住所とその地図だけでは、どこに何さん宅があるのか、いくらさがしても見つからなかった。
 当時はもちろんカーナビなんて便利なものはないので、これには参った。
  
 こういうときは、トラックの存在自体も邪魔になってくる。
 結局、トラックを置いて、徒歩で必死になってお歳暮の届け先をさがし回った。
  
 まる1日かけて、へとへとになって働いたが、健闘むなしく、配達できたのは20個くらいだけだった。
 結局、ほとんどの荷物を配達基地まで持ち帰るハメになってしまった。
  
 悲惨なことに、1日働いて収入はたった1600円。
  
 あとで聞いてみて、驚きのカラクリがわかった。
  
 マンション・団地などの配達しやすいところは、全部ベテラン社員たちが独占していて、メチャクチャ配達しにくい「残りものの地域」が私たちバイトに与えられていたのだ。
  
 マンション・団地などは、届け先が集中しているので、一箇所で数十個のお歳暮がいっぺんに配達できる。
 これによって、ベテラン社員達は、苦労なくいとも簡単に給料が稼げるのだ。
 そういう楽なところはバイトには一切回って来ないという、インチキバイトだったのだ。
  
 1日かけて、へとへとになって配達した私はあまりにも愚かだった。
 ホント、ひどい話である。
 