ろくに勉強もしなかったのに、中央大学はなぜだか私を進級させてくれた。
そして大学3年生になった。
1・2年では、出席を取るのは語学の授業だけだったのだが、3年になってその語学の授業もなくなった。
すべての授業が出席を取らなくなったのだ。
これはどうみても、大学には来るな!という意味だ。
私はそう解釈した。
さて、それまで授業や麻雀の合い間にバイトをしているだけでは、なかなか生活は楽にはならなかった。
時給500円や600円で4時間、5時間働いても、月に5万円くらいしか稼げないのだ。
働けど働けど 我が暮らし楽にならざり ぢっと手を見る −−石川啄木
などとは言ってられなかった。
なんとか、もっと収入を増やす方法はないものか・・・
大学は授業に来なくていいと言っているので、私は大学には行かないことに決めた。
そして稼げるバイトを探し始めた。
時給が高いといえば、激しい肉体労働。
または、深夜・早朝の労働。
もしくは、リスクを伴う労働・・・
収入を増やすには、長時間労働。
はたまた、バイトを掛け持ちするか・・・
そして私は、ついに早朝出勤のトラック配送のバイトを見つけた。
大手牛乳会社でスーパーマーケット向けに、2トントラックで牛乳を配送するという仕事だ。
朝5時に出勤して昼の2時くらいまで働けば、一日8000円はもらえるという。
学生にとっては、稀に見る高収入のバイトだ。
もう迷うことはない。
それまでやっていたトンカツ屋のバイトは夕方からなので、牛乳のトラック配送とトンカツ屋を掛け持ちで、収入を増やそう!
(激しい肉体労働)+(早朝労働)+(交通事故リスクのある労働)=高い時給
(高い時給)+(バイト掛け持ち)=高い日給
これしかない!
こうして、毎朝4時起き、バイト掛け持ちの超ハードな生活が始まった。