2007-11-05
積小為大
(小を積みて大となす)
−−二宮尊徳
大きなことをしようと思うならば、小さいことを怠けずに励まなければならない。
小さいことの積み重ねこそが、大きなことを生み出すのだ。
英会話学校最大手のNOVAが経営破綻した。
多くの生徒がクレジットなどを利用して最大3年分の前払いをしており、負債439億円の大半は講師への未払い給与と生徒からの前払い授業料のようだ。
かくいう私も、NOVAには2回通ったことがある。
トナーカートリッジの輸入業務のために、必要に駆られて英会話を習い始めたのだが、その1回目は今まさに問題とされている3年分の前払いだった。
少ない授業数よりも、より多くの授業数を前払いしたほうが授業1回の単価が安くなるので、どうしても無理して多額の前払いを選んでしまう。
当時から多くの生徒が2年分あるいは3年分の授業料を前払いした上で、すべての授業をこなせずに途中で挫折していたように思う。
だからNOVAは初めから「授業をせずに、生徒が損した分で儲ける」体質だったのだ。
生徒に前払いさせて授業料を得て、授業を提供しないうちから売上げを計上し、多額の利益が出たように見せかける。
そして、巨額の広告宣伝費を使いながら、規模を拡大する。
そうした虚構の中に成り立っていたNOVAは、行政処分の適用によっていとも簡単にほころび、一気に崩れ去った。
世の中、そんなに簡単に事業が成功するほど甘くはない。
一気に拡大しようとしても、必ずどこかに無理が生じるものだ。
事業というものは、世の中から必要とされるものを、正義と道徳心に従い使命感をもって取り組み、それを長く続けて初めて形になるものである。
小を積みて大となす。
地道な努力を、汗をかいて積み重ねよう。
事業に近道はないのだ。