2008-01-17
 学生時代、車の修理代はあまりにも高すぎると思った。
  
 おそろしいのは 『工賃』 だ。
 部品代が数百円でも、工賃は数千円取られる。
 自分で直せば部品代の数百円で済むところが、車屋に頼むと途端に数千円もかかってしまう。
  
 だから学生時代は、車はなるべく車屋に持ち込まないことにしていた。
 少々壊れていても我慢すれば車は走るものだ。
  
 さて、その頃愛車ブルーバードUはワイパーの調子が悪かった。
 最初は左のワイパーからおかしくなった。
 頼んでもいないのに間欠ワイパーになるのだ。
 気まぐれで動いたり、動かなかったり。
  
 これくらいなんともない・・・
  
 しばらく我慢していると、今度は右のワイパーも勝手に間欠ワイパーになってきた。
 でも晴れていればそんなワイパー不調も全く気にならないものだ。(当然だが)
  
 ワイパーブレードの交換なら数千円で済むが、ワイパー機構の修理となると数万円かかるだろう。
 ここは我慢のしどころだ。
  
 しばらくして、車で三重の田舎に帰省したときのことだ。
 実家で過ごしたあと、私は再度東京に向かっていた。
 そのときは東名高速の渋滞を避けるため、長野回りで中央高速を使った。
 当時中央高速は甲府昭和インターから勝沼インターまでがつながっていなかった。
 名古屋方面から走るといったん甲府昭和で一般道に降り、国道20号を通ってまた勝沼から高速に乗らなければならなかった。
  
 私は甲府昭和で高速を降り、勝沼バイパスを勝沼に向かって走っていた。
 すると、激しい雨が降ってきた。
 当然ワイパーを動かした。
 いや、動かそうとした。
 が、調子の悪いワイパーはたまにしか動いてくれなかった。
  
 まずい、前が見えない・・・
  
 ワイパーが動く時は前が見える。
 だが、ワイパーが止まったときは、激しい雨で前が全く見えなかった。
  
 雨は激しい豪雨に変わった。
 もう全く前が見えない。
 急いでいたので、車を止めて雨をやり過ごすわけにはいかなかった。
 私はしかたなく、窓を開けて頭を外に出して運転することにした。
 これなら前は見える。
 びしょぬれになるが。
  
 たまにワイパーが動いたら、頭を車の中に引っ込めた。
 しかしワイパーが止まったら、また頭を外に出すのだ。
 びしょぬれになりながら、これを繰り返した。
  
 勝沼インターに近づくと、やっと雨は収まってきた。
 やれやれ。
  
 いくら車の修理が嫌いといっても、ワイパーだけは必需品だ。
 ワイパーが動かないと、とんでもない目に遭う。
  
 ワイパーって、とってもありがたいものだとつくづく感じた。
 