「もう若くないさ〜」 とつぶやきながら、髪を切った。
大学4年の8月、やっと重い腰を上げて就職活動を開始したのだ。
だが、就職するには成績が悪すぎた。
ロクに出席もせず、バイトと麻雀に明け暮れていたから当然といえば当然なのだが、とにかく成績が悪すぎた。
しかし、私大文系にありがちなことだが、出席を取らない授業のおかげで、大学にロクに行ってなかったが試験だけはこなしていたので、卒業できる望みはまだあった。
だが、全くといって勉強もしておらず、新聞も読まず、企業研究もやってないものだから、どこに就職していいかがわからない。
どの企業が有望なのか、何もかわからないので、学生人気ランキングの上位から当たることにした。
無謀な話だったが。
当時学生に人気といえば、損保と商社だ。
損保は、東京海上と住友海上、
商社は三菱商事、住友商事、伊藤忠、丸紅に候補を絞った。
さらにこれは無謀な話だった。
当時は10月1日が企業と学生が接触を開始できる解禁日だったが、解禁日前の就職活動はのれんに腕押し、糠に釘状態。
まったくいい感触がない。
というか、成績が悪すぎ、かつ常識も知らなかったので、就職するための基礎がなっておらず、全くと言っていいほど企業に相手にされなかった。
成績の悪い、わけのわからない学生と見られたわけだ。
こんな状態で就職できるのだろうか・・・
就職活動の厳しさに、不安の日々を過ごしていた。