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所用があって8月9日、新宿からあずさ号に乗り込んだ。

 

8時ちょうどのあずさ2号・・・というわけにはいかなかったが、お盆休み初日ということもあり、車内は満員だった。

ほとんどが帰省客、旅行客なのだろう。

車内は家族連れなどでにぎわっていた。

私はひとり、予約していた通路側の席に座った。

 

通路をはさんだ隣の席には3人の家族連れがすでに座っていた。

初老の両親と20歳くらいの息子の3人家族のようだ。

両親が進行方向に向かって並んで座り、息子が両親の前の席に、向かい合わせになって座っていた。

息子のほうが、座席をくるりと回して後ろ向きに変えた側に座っていた。

 

その息子と初老の両親の間には微妙な距離が感じられた。

普段はあまり会話がないのであろう。

ぎこちない雰囲気が漂っていた。

 

するとこともあろうに、父親が息子の財布を奪って中身を調べ始めた。

 

「やめろよ!」

「どうせたいしたものが入ってないんだから見せろ!」

 

とんでもないオヤジもいたもんだ。

こんなことをしていたのでは、親子の断絶も解消できないだろう。

しかし、ここまではまあよくある話だ。

 

発車間際に、別の夫婦が乗り込んできた。

席を探しているようだ。

空いている席は私のすぐ前の席と、その席の通路をはさんだすぐ横の2席しかなかった。

その夫婦は、明らかにその2つの席を予約しているようだった。

 

だが、そこはすでに3人連れの例の家族が席を向かい合わせにして座っている。

このままでは、あとから来た老夫婦のうちの一人が、進行方向に対して後ろ向きに、なおかつ家族3人の中の席に座らなければならない。

こういう場合、普通は 「すいません」 とばかりに、3人家族が逆向きにした席を元に戻すのが常識だろう。

後ろ向きに乗車すると気分も悪いし、第一、3人家族の中にポツンと一人座るのもつらいものだ。

というか、もともと3人連れの場合は席を向かい合わせにはしないものだ。

4人客ならまだしも、3人の場合はもう一人の乗客が乗ってくるので、普通はそんな勝手なことはしない。

 

「席を元に戻してもらえませんか?」

 

あとから来た男性は家族連れのオヤジに頼んだ。

するとそのオヤジは首を横に振った。

席を元に戻すのを断るつもりらしい。

 

とんでもなオヤジだ。

さっき息子の財布を勝手に調べていたが、やっぱり超自己中心的なヤツなのだ。

 

「どうしても戻してもらえませんか?」

 

あとから来た男性はその自己中(ジコチュウ)オヤジにもう一度頼んだ。

しかし自己中オヤジは、

 

「家族なんで」

 

とわけのわからない理由を言って、一向に応じる気配がない。

 

男性は悲しそうな顔をした。

そして、それ以上交渉するのを諦めたようだった。

 

私はムラムラと腹が立った。

この自分勝手なオヤジに、代わりに文句をつけてやろうか・・・

しかし私はすんでのところで思いとどまった。

男性はすでに交渉を諦めて、進行方向と逆向きの席に座っていた。

通路をはさんだ席には、その妻もすでにおとなしく座っていたのだ。

 

なぜ私が思いとどまったか。

 

私が自己中オヤジに文句をつけると間違いなくケンカが始まるだろう。

自己中オヤジは根っから自分勝手なヤツなので、恐らく簡単には引き下がらないだろう。

こちらも正しいものは正しいと思っているので引き下がるわけにはいかない。

そうすると自己中オヤジは、正確が曲がっているので暴力を振るってくるかもしれない。

仮にそうでなくても、大声での罵倒合戦になるだろう。

 

そうなると、あとから来た夫婦のためを思って文句をつけてあげたものが、その夫婦も周囲の人も皆不快になり、その場に居づらくなる。

せっかくのみんなの楽しい旅行を台無しにするかもしれない・・・

 

そう思って、私は文句をつけるのを思いとどまったのだ。

 

その後、進行方向と逆向きに座らされたその男性を見たら、なんと微笑んでいるではないか。

私はそこでやっと気づいた・・・

 

3人家族には初め距離があり、会話も少なかった。

恐らく普段は、息子が部屋に閉じこもり、家族のコミュニケーションもないのだろう。

しかし、あずさ号が出発して徐々に家族旅行の雰囲気が盛り上がるにつれ、少しずつ家族の会話が弾み始めていた。

 

つまりこのあとから来た男性は、この3人家族が家族旅行を楽しんで、家族が仲むつまじく過ごせるようにあえて自分を犠牲にしたのだ。

だから家族の会話が弾んでいるのを見て、微笑んだのだ。

 

私はこの男性に 「利他の心」 を見た。

 

このせちがない世の中、97%の人は自分のことだけを考えて生きていると聞いたことがある。

もし、私がこの男性の立場だったら、絶対にこの自分勝手なオヤジは許さなかっただろう。

指定席特急券を持った自分の権利をきっちり主張して、座席を元に戻させただろう。

しかし、それは自分のことだけを考える 「利己」 なのだ。

他人への思いやりを持たない、利己の塊だ。

 

その点、この男性はすばらしかった。

自分のことよりもまず、3人の家族の和を優先したのだ。

 

夏真っ盛りの甲斐路で、私は 「利他の心」 のすばらしさを垣間見た。

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