2008-02-19
 牛乳配達のバイトは結構給料が良かったので、車でも買おうかと考えていた頃のこと。
  
先輩のトラック運転手が、ハコスカGT−Rを売ってくれると言い出した。
 ハコスカGT−Rと言えば、当時も今も幻の名車だ。
 それも30万円だと。
  
 さっそくその車を見に行った。
 牛乳配達基地の駐車場にその「GT−R」は放置してあった。
 車検が切れているらしい。
  
 ドアを開けた。
 シートはレカロのバケットシートだ。
 車の中にはロールバーが入っていた。
  
 エンジンをかけてくれと頼んだ。
 すると先輩はスイッチをカチカチ言わせてエンジンをかけた。
 キーを差し込んで回してエンジンをかけるタイプではないらしい。
  
 乗ってみた。
 すごい加速だ。
 さすがGT−R・・・
  
 と思ったが、実はただのハコスカ「GT−R」仕様。
 つまり普通のスカGを改造しオーバーフェンダーを付け、「GT−R」に似せた車だったのだ。
  
 しかし、見たこともないような太いタイヤに、シャコタン(今で言うローダウン)。
 ソレックス、タコ足、デュアル。
 爆音をたてて走り、見た目はGT−R。
  
 これ、乗りたい!と思った。
 強烈に魅力的な車ってあるもんだ。
 とにかくカッコ良かった。
  
 私はもう少しで買うところだったが、なんとか思いとどまった。
  
 なぜ思いとどまったかというと、別の先輩運転手がアドバイスをしてくれたからだ。
  
 その先輩が言うには、
  買っても車検は通らないぞ。
  リッター3キロは燃費が悪すぎる。
  スイッチでエンジンをかけるというのは、おそらく盗難車だからだ。
  
 冷静に考えたら、かなりヤバイ車だった。
 あぶない、あぶない。
 