ブルーバードUに乗る前、一度だけ車を友達と共同所有していたことがある。
大学2年の時、以前田倉荘でいっしょだったF君とお金を出し合って、マツダのグランドファミリアを買ったのだ。
グランドファミリアは当時「サバンナもどき」と言われたレシプロエンジン車。
ロータリーエンジンを積んだサバンナRX−3が高くて買えなかった私たちは、一見してサバンナに見えるグランドファミリアを選んだのだ。
なぜ共同所有にしたかというと、当時貧乏学生だった私たちには自家用車は高嶺の花で、一人で買う勇気もなかったし、カネもなかったからだ。
京王線の中河原に住む私と、隣の聖蹟桜ヶ丘に住むF君で交互に乗れば、車を半額で所有できるという、今を思えばとても先進的な考えだった。
最初は今日はオレ、明日はF君、と交互に仲良く利用していた。
ところがその関係は、すぐにもろくも崩れた。
当時私は独り者。
一方、F君は聖蹟桜ヶ丘で彼女の同棲していた。
それも彼女の妹と一緒に同棲していた。
今思えば妙な同棲だ。
それはともかくとして、私はひとり、彼は実質的に家族がいたわけだ。
ひとりで車を使うのと、家族で車を使うのと、どちらが大義名分が大きいか・・・
というわけで、私は「車を使いたい」とは言いにくい状態になってしまったのだ。
これでは何のための共同所有なのかわからない。
ほどなくサバンナはF君専用の車になってしまった。
画期的だと思った車の共同所有は、あっけなく幻と消え去った・・・