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時給500円だと、8時間働いても4,000円。
丸一日潰して働いてもこれだけの収入にしかならないのはキツかった。
せっかく一日働いても、飲み会に行くだけでその稼ぎが吹っ飛んだ。
何か他にいいバイトはないものか・・・まったく厚みを増さない財布を見つめながら悶々としていると、田倉荘の友達がいいバイトを見つけてきた。
多摩動物園のえさを刈り取るバイトだ。
時給はなんと1,000円!
朝5時に田倉荘まで車が迎えに来て、昭島の牧草地まで連れて行かれ、そこで2時間程度働くというものだ。草刈り機で刈り取られた「動物用の草」を束ねて、トラックに積み込む肉体労働だった。
時給1,000円に釣られて、田倉荘の貧乏学生が数人集り、このバイトを始めた。
しかしやってみると問題点があった。
まず、移動に往復で2時間もかかることだ。
もうひとつは、全身が衣服と共にドロドロに汚れ、かつ強烈な「草の臭い」がしみついてしまうことだ。
朝早く起きて、汚くて、たいへんな重労働で、移動時間を含めると4時間かかって、バイト料は2,000円だけ。
結局、時給500円のバイトと変わりがないということにあとで気づいた。
しかし楽しいこともあった。
たまに開園前の誰もいない、朝の多摩動物園に入れたのだ。
普段は徒歩でしか入れない園内を、草を積んだトラックで回り、キリンや象、サイなどを間近に見ながらえさを配ることができたのだ。
朝の園内は、孔雀が羽を広げて走り回ったり、象が腹をすかせて暴れ回っていたり、普段は決して見ることができない光景が広がっていた。